ハワイがゴンドラ・ロープウェイを州全体で禁止 ― 歩かずに山へ行ける乗り物が、もう作れなくなる話(2026年新法)
歩くのが苦手な私たちにとって、「ゴンドラ」や「ロープウェイ」というのは、本来かなり心ときめく乗り物です。自分の足で坂道を登らなくても、座っているだけでするすると山の上まで運んでくれるわけですから、これ以上ありがたい仕組みはありません。そんな夢のような乗り物を、ハワイが州全体で「もう新しく作っちゃダメ」と決めたそうです。出歩くのが得意ではない我が家としては、つい「えっ、もったいない」と反応してしまったのですが、理由を読んでいくと、なるほどなぁと静かに納得する話でもありました。
ニュースのあらまし
Hawaii Just Banned Something Other Places Build For Visitors. Why?
Hawaii has banned private gondolas, cable cars, and aerial trams statewide after a proposed ride above Oahu’s North Shore raised bigger questions about access, agriculture, and how much of the islands should remain untouched.
報じられているところでは、ハワイ州が新しい法律(Act 172)で、ゴンドラ・ケーブルカー・空中トラム・ロープウェイといった「空を渡すタイプの乗り物」を、州全体で新しく作ることを禁止したそうです。対象は民間の事業者が作る旅客・貨物用のもので、行政がやる公共の計画は議会の承認があれば例外になる、という建て付けだとか。
きっかけになったのは、オアフ島ノースショアにあるマウント・カアラ(オアフで一番高い、標高1,200メートルほどの山)へゴンドラを通そうという計画でした。地元の牧場が持つ2,300エーカーもの広い土地を舞台に、海外の実業家が後押しする形で進もうとしていたようです。
ただ、この山はハワイの先住民の人たちにとって神聖な場所で、農業用の土地に大きな観光施設を作ることへの反対も強かったとのこと。そうした声を受けて、計画そのものを止めるだけでなく、同じようなものが今後どこにも作れないように、州のルールとしてまとめて禁止した、という流れのようです。
歩かずに山頂へ、は私たちの夢なのですが
ゴンドラやロープウェイは、私たちのような出歩くのが苦手な人間にとっては理想的な乗り物に思えます。自分の足で坂道を登らなくても、座っているだけで山の上まで運んでもらえるわけですから。実をいうと私たち自身は、これまで観光地のロープウェイの類に乗ったことが一度もありません。それでも、汗だくで山道を歩く人たちを横目に、涼しい箱の中でのんびり景色を眺められるなんて、想像するだけでずいぶん良さそうだなと思ってしまうんですよね。
ですから、ハワイにそういう乗り物ができると聞いたら、最初は「いいなぁ、乗ってみたいなぁ」と思ったと思います。山の上までするっと運んでもらえるなら、うちでも高いところからの景色を楽しめるかもしれない、と。
それでも、禁止の理由が「先住民にとって神聖な山だから」と知ると、その気持ちはすっと引っ込みました。誰かにとって大切な場所を、自分たちが景色を楽しむために削ってしまうのは、なんだか違うなと感じます。便利さよりも、そっとしておくことを選んだハワイの判断は、私たちには素直に受け止められるものでした。
そもそもマウント・カアラは、我が家からはかなり遠い
もうひとつ、私たちには現実的な事情があります。マウント・カアラがあるノースショア方面は、ワイキキで滞在している我が家からすると、そもそもかなり遠い場所なんですよね。
私たちはハワイでレンタカーを借りない夫婦なので、移動はもっぱら歩きと、市バスのザ・バス(TheBus)、それにUberやLyftです。ワイキキの周りとアラモアナあたりで毎日の楽しみがほぼ完結してしまうので、車がないと行きづらいノースショアの山までは、ここ何年も足が向いていません。
なので、仮にあのゴンドラが完成していたとしても、私たちが実際に乗りに行ったかというと、たぶん行かなかった気がします。「夢の乗り物!」と盛り上がっておきながら、結局ワイキキから出ない。そういう自分たちのことは、よく分かっているつもりです。それでも「あったらいいなぁ」と空想するくらいは自由なので、ニュースとしてはやっぱり気になって読んでしまいました。
ハワイが「作らない」と決めること
ここ最近、ハワイのニュースを眺めていると、「観光客のために何かを増やす」より、「今あるものを守るために何かを抑える」方向の話が増えてきたなと感じます。
少し前には、マウイで短期のバケーションレンタル(キッチン付きで泊まれる貸しコンドミニアムのような宿)を減らそうとして揺れている話を眺めましたし、観光税の使い道を見直す動きもありました。今回のゴンドラ禁止も、その並びにある話なのかなと思います。観光でにぎわう土地だからこそ、何でもかんでも作れるわけではない。そのさじ加減を、ハワイは少しずつ調整している最中なんでしょうね。
旅行で訪れる立場からすると、便利な乗り物や新しい施設が増えるのは、もちろんありがたいことです。でも、行くたびに少しずつ景色が変わっていくより、「あの山はあのままだね」と思える方が、長く通う身としては落ち着くのも本音です。歩いてでも守りたいものがハワイにはあるんだなと、今回のニュースで改めて感じました。
次の滞在も、我が家はワイキキの近くで
結局のところ、ゴンドラがあってもなくても、私たちの夏の過ごし方はあまり変わりません。冷えたコナブリューイングを片手に、海の方をぼんやり眺めて一日を終える。山の上の絶景は、たまにこうしてニュースで眺めるくらいがちょうどいいのかもしれません。
歩かずに山頂へ行ける乗り物への憧れは、心の片隅にそっとしまっておこうと思います。そしてマウント・カアラは、これからも静かにノースショアの空の下にあり続けるんだなと思うと、それはそれで悪くない話だなぁと感じています。
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