巨大化する車と歩行者の事故が増えている ― 車を運転せず毎日ワイキキを歩く私たちが、ハワイ大の研究者も参加した調査を読んでみた
ハワイでの我が家の移動は、もっぱら自分の足です。車を運転しませんし、レンタカーも借りません。ワイキキの周りをのんびり歩いて、お店やスーパーをのぞいて回るのが毎日の楽しみなので、横断歩道を渡る回数は人より多いと思います。そんな歩いてばかりの私たちが、ちょっと身構えながら読んだニュースがありました。アメリカで車がどんどん大きくなっていて、それが歩く人の事故の増加につながっている、という調査の話です。
ニュースのあらまし
The deadly rise of giant trucks and SUVs | Honolulu Star-Advertiser
In the early 2000s, more than half of the passenger vehicles on American roads were traditional cars like sedans. Their hoods were low to the ground.
報じられているのは、ニューヨーク・タイムズが連邦政府の記録や業界のデータを調べてまとめた調査です。アメリカでは歩いていて亡くなる人が2009年以降ずっと増え続けていて、その増え方はおよそ75%にものぼるそうです。そして2016年から2024年までの8年間で、約3,000人が「車が大きくなったこと」を一因として亡くなったと見られる、と書かれていました。
具体的に挙げられていた数字が、なかなか考えさせられるものでした。
- 車のボンネット(エンジンルームの上のふた)の高さは、2002年以降で平均およそ3インチ(約7.6センチ)高くなった
- そのボンネットが1インチ高くなるごとに、歩行者が亡くなる割合が2.8%ずつ上がる
- 今どきの平均的な車は、ボンネットの高さが地面から約3フィート(約90センチ)ある
- シボレーのシルバラードという大型トラックでは、運転席から見えない死角がほぼ2倍に広がっていて、GMCのシエラやトヨタのタコマでも6割ほど増えている
そしてこの調査、手法づくりにハワイ大学の研究者(ジャスティン・タインデルさん)が協力していたとのこと。ハワイの名前がこういう形で出てくると、急に自分たちの足元の話に思えてきます。
毎日歩く我が家には、ちょっと他人事ではない数字
数字そのものは難しい話ですが、要するに「車の前面が高く・大きくなると、運転している人から歩行者が見えにくくなり、ぶつかったときの衝撃も大きくなる」ということのようです。これは、毎日ワイキキを歩いている私たちには、なんとなく体感として分かる気がしました。
大きなトラックやSUVが横断歩道の手前で止まっていると、運転席がぐっと高い位置にあるだけに、「あの席から、足元のこっちはちゃんと見えているのかな」と思うことが、正直あります。背の高い車の真ん前を渡るときの、あのちょっと見上げるような感じ。あれが事故の数字とつながっているのだとしたら、なるほどなぁと静かに納得してしまいました。
私たちはハワイで車を運転しないので、移動は歩きと、市バスのザ・バス(TheBus)、それにUberやLyftが中心です。つまり街では基本的に歩く立場なので、こういう歩行者まわりのニュースは、つい自分のこととして読んでしまうんですよね。
運転する人を責める話ではなくて
ここで気をつけたいのは、これは「大きな車に乗る人が悪い」という話ではないということです。調査が指摘しているのは、あくまで車そのもののデザイン、つまり前面がどんどん高く四角くなってきた、という作りの問題なんですね。運転している一人ひとりがどうこうというより、車の形が世の中全体でそういう方向に進んできた、ということのようです。
ハワイでも、大きなトラックやSUVに乗っている人はたくさんいます。家族で大きな買い物をするにも、アウトドアに出かけるにも、大きい車が便利な場面はいくらでもあるでしょう。我が家のように歩いてばかりの人間とは、暮らし方も移動の事情も違うわけで、そこに優劣はありません。あちらにはあちらの最適な形があり、こちらはこちらで歩く毎日を楽しんでいる、というだけの話です。
ただ、その「便利で大きい車」が増えた結果として、歩く人にとっての景色が少しずつ変わってきている。そのことを、こういう調査がそっと教えてくれるのは、ありがたいことだなと思いました。
歩く私たちにできること
では、歩く私たちに何ができるかというと、実はそんなに大それたことはありません。青信号でも一度車の動きを見てから渡る、大きな車の前を横切るときは運転手と目が合うか確かめる、急いでいても無理な渡り方はしない。本当にそれくらいです。
考えてみれば、毎日同じ道を歩いていると、どの交差点が広くて、どこが車の曲がってくる向きとぶつかりやすいか、自然と体が覚えてきます。我が家が何年もワイキキで歩き続けてこられたのは、たぶんそういう小さな用心が積み重なっているおかげなのかもしれません。ニュースの数字は少し怖いものでしたが、だからといって歩くのをやめる気にはなりません。
次の滞在も、私たちはのんびり歩きます
結局のところ、うちの過ごし方はこれからもあまり変わらないと思います。ワイキキの周りをぶらぶら歩いて、スーパーでビールやフルーツを選んで、冷えたコナブリューイングを片手に一日を終える。その合間に渡る横断歩道で、ほんの少しだけ車に気をつける。それだけのことです。
車が大きくなる流れは、私たち歩く人間には止められません。でも、自分の渡り方を少し丁寧にするくらいなら、明日からでもできます。今回のニュースは、そんな当たり前のことを思い出させてくれた、ありがたい一本でした。
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