2026年シーズンで最初にハワイへ近づいたハリケーン「ファウスト」は、現地時間の7月28日(火)から29日(水)にかけて、島々の北を通り抜けていきました。近づきながらどんどん勢力を落としていって、水曜の午前には熱帯低気圧ですらなくなる見込み、というところまで弱まっています。島に残ったのは東を向いた海岸の高波くらいで、その注意報も水曜の昼には解除されました。私たちは海に入らず部屋で過ごす時間が長いので、こういう予報が出たときに動かすのは水と買い出しの順番くらいです。7月24日(金)の予報がどう書き換わっていったのかを並べ直したうえで、我が家が実際に前へ倒すものも書いておきます。
ニュースのあらまし
ファウストは、現地時間7月24日(金)午後5時の時点でカテゴリー2のハリケーン。最大風速は時速105マイル(およそ170km)で、ハワイ島ヒロの東およそ1,385マイル(2,200kmあまり)の海上を、西へ時速14マイルで進んでいました。ハリケーンなみの強い風が吹いている範囲は中心から45マイル、熱帯低気圧なみの風の範囲は205マイルまで広がっていたそうです。
この週末に中部太平洋へ入り、月曜には熱帯低気圧まで弱まる見込み。そのまま勢力を落としながら、火曜から水曜にかけて島々の北を通り抜けると予想されていました。火曜時点の最大風速は時速50マイルほどまで下がる見通しです。金曜の時点で沿岸の警報・注意報は出ておらず、進路の幅を示す予報円には、ハワイ島を除く各島が入っていました。ホノルルの気象台は「進路や勢力が少し変わるだけで、島ごとの影響は変わります」と言い添えています。
Fausto expected to pass just north of Hawaii as tropical storm | Honolulu Star-Advertiser
UPDATE: 8:40 p.m.
ホノルルのブランジアルディ市長は「備えは、どんな緊急事態に対しても一番の守りになります」と話し、家族で決めた緊急時の動き方の見直し、14日分の水・食料・薬の備蓄、大事な書類の確保、それに緊急のお知らせを受け取れる「HNL Alert」への登録を呼びかけていました。ハワイ島のアラメダ市長も「今シーズンの備えを家族で確かめるいい機会」とコメントしています。中部太平洋のハリケーンシーズンは、11月30日まで続きます。
City urges residents to prepare as Fausto nears Central Pacific | Honolulu Star-Advertiser
Although Hurricane Fausto is expected to weaken before reaching the vicinity of Hawaii, Honolulu officials are urging Oahu residents to use the weekend to review their hurricane preparedness plans.
ファウストは近づきながら弱まり続けました
金曜の予報どおり、ファウストは島に近づくほど勢いを失っていきました。火曜は一日のあいだに数字がどんどん書き換わっていて、朝と夕方でもう別の嵐のようになっています。
7月24日の予報と、実際の経過
日付ごとに「金曜の時点で見込まれていたこと」と「実際にどうだったか」を並べると、こんな形になります(すべて現地時間)。
| 日付 | 7月24日(金)時点の見込み | 実際の経過 |
|---|---|---|
| 7月25日(土)〜26日(日) | 中部太平洋へ入ってくる。南を向いた海岸には土曜午後6時までの高波注意報 | ほぼ見込みどおりに中部太平洋へ |
| 7月26日(日)の遅く | 東を向いた海岸で波が上がり始める | 週明けにかけて東を向いた海岸の波が上昇 |
| 7月27日(月) | 熱帯低気圧まで弱まる見込み | この日のうちにハリケーンではなくなり熱帯低気圧へ |
| 7月28日(火) | 島々の北を通過。最大風速は時速50マイルほど | 午前5時に時速60マイル、午前11時に50マイル、午後5時に40マイル。午後5時の中心はヒロの北北東およそ255マイル、ホノルルの東北東およそ310マイル |
| 7月28日(火)の夜遅く | ― | 最大風速が時速35マイルまで落ちて、さらに一段弱い扱いに。中心はヒロの北およそ250マイル |
| 7月29日(水) | 島々の北を通過。東を向いた海岸の波が最も高くなる | 午前のうちに熱帯低気圧ではなくなる見込みと発表。高波の注意報は正午に解除 |
火曜の午後5時の位置は、ヒロの北北東およそ255マイル、ホノルルの東北東およそ310マイル。ホノルルからだと500kmくらい離れたところを通っていった計算になります。地図で見ると近そうに感じますが、島の暮らしが止まるほどの距離ではなかった、ということですね。
Tropical Storm Fausto continues to weaken amid high surf for Hawaii | Honolulu Star-Advertiser
UPDATE: 11 a.m.
水曜の朝の発表では、その日の午前のうちに熱帯低気圧ではなくなる見込みとされていて、予報の解説にも「これだけ雲がまとまらないと、このまま生き延びるのはかなり難しい」といった内容が添えられていました。名前がついてハワイに近づいてきた嵐が、そのまま静かに形をなくしていった格好です。
Tropical Depression Fausto Wednesday update: Storm now forecast to become post-tropical remnant low by late this morning | Big Island Now
High surf along east-facing shores of the island chain generated by Fausto also is declining quickly as the system passes by the state.
高波は東を向いた海岸に14〜18フィート
風の数字より、島で実際に影響が出たのは波のほうでした。7月28日(火)の記事によると、高波の警報が出ていたのはカウアイ・オアフ・モロカイ・マウイと、ハワイ島の一部の東を向いた海岸で、波の高さは14〜18フィート。気象台は満潮の時間帯に「海の水がビーチや岩棚、溶岩の上まで押し寄せる可能性がある」といった内容の注意を出していました。
| 時点(現地時間) | 出ていたもの | 波の高さ |
|---|---|---|
| 7月28日(火) | 高波の警報(東を向いた海岸) | 14〜18フィート |
| 7月29日(水)の早朝 | 警報が解除され、各島の東を向いた海岸に高波の注意報へ | 午前は8〜12フィート、午後には10フィート未満まで下がる見込み |
| 7月29日(水)の正午 | 注意報も解除 | ― |
水曜の正午に注意報が解除された時点で、ハワイ島のビーチパークはすべて開いていた、と現地の報道は伝えています。停電や大きな被害の話も、この時点の報道には出ていませんでした。
High surf warning replaced with high surf advisory for east-facing shores | Big Island Now
The east swell being generated from now-Tropical Depression Fausto fell below warning levels overnight and will continue to rapidly decline throughout July 29.
波が上がるのは東を向いた海岸が中心
今回の波の話は、カイルアやハワイ島の東の海岸のように東を向いた海岸が中心でした。日曜の遅くから波が上がり始めて、火曜・水曜にいちばん高くなる、という見通しどおりの進み方です。一方でワイキキは南を向いた海岸なので、この東うねりを正面から受ける場所ではありません。金曜の時点で南を向いた海岸に出ていた高波注意報は、土曜の午後6時までのもので、これはまた別の波の話でした。
私たちは海に入らず、部屋から眺めているだけの過ごし方なので、波の高さそのものを肌で感じる機会はほとんどありません。それでも、風が強い日はさすがに事情が変わります。窓を大きく開けて、午後3時か4時くらいからのんびり飲み始めるのが我が家の定番なのですが、風が回り込んでくる日はそれができません。窓を閉めてしまうと、途端に部屋の中の音が近くなって、いつもの晩酌とは少し違う時間になるんですよね。
海が荒れる日は、ビーチにライフガードの旗が増えます。泳ぐ予定のある方は、その日の掲示に素直に従うのが一番だと思います。眺めるだけの私たちにとっても、荒れた日のワイキキの海は普段と表情が変わるので、それはそれで見応えがあります。
出歩かない日でも、水と買い出しだけは前に倒す
市が呼びかけていた14日分の備蓄は、ハワイに住んでいる方に向けた数字です。滞在で来ている身としては、さすがに部屋に2週間分を積み上げる話ではありません。そこは分けて考えて、数日は部屋から出なくても平気な状態を作っておければ十分だと思っています。
我が家の場合、これはそんなに構えた話ではありません。もともとスーパーでまとめ買いをした後は、数日ほとんど出かけずに買ったものを食べて過ごす波があるので、嵐の予報が出た週は、そのまとめ買いの日を少し前にずらすだけで形になります。ビールは歩いて1〜2分のロングスで、食材とフルーツは歩いて15分ほどのワイキキマーケットで。買い出しそのものが夫婦の楽しみでもあるので、天気が崩れる前に済ませてしまうのはむしろ気が楽です。
水だけは、いつもと同じというわけにいかなさそうです。普段は日本から持って行った浄水ポットで水道水を濾して飲んでいて、重いペットボトルを部屋に積む生活はやめてしまいました。ただ、停電や断水があると蛇口そのものが頼りにならない場面もあるので、こういう予報が出た週は、たぶん飲み水を何本か買い足しておくと思います。それと、高いところの部屋に泊まっていると、エレベーターが止まったときのことはどうしても頭をよぎります。
- ビールと食材は、天気が崩れる前日までに買っておく
- 飲み水は数本だけ別に確保しておく
- 冷蔵庫を開け閉めする回数を減らせるよう、食べる順番をざっくり決めておく
- 携帯とタブレットは、山場の前に満充電にしておく
書き出してみると、どれも普段やっていることの前倒しばかりです。備えというより、いつもの段取りを1日か2日早めるだけ、という感覚に近いですね。
レンタカーと飛行機のことは、それぞれの過ごし方で
我が家はレンタカーを借りないので、給油や駐車場をどうするかで動くことはありません。ただ、車で回る予定の方には話が別です。給油は早めに、車は屋根のあるところに、というのは、こういう予報が出たときによく言われることですね。あちらにはあちらの段取りがあって、こちらにはこちらの段取りがある、というだけの話だと思っています。
飛行機については、7月24日時点のニュースでは運航への影響には触れられていませんでした。火曜・水曜に移動が重なる方は、航空会社からの案内をこまめに見ておくのが確実です。私たちは1回の滞在を25泊くらい取ることが多いので、こういうときに日程の前後で慌てずに済むのはありがたいところです。天気で足止めを食らう話は太平洋の島ではどこでも起こりうるので、日程に余白を持たせておくことの効き目は大きいなぁと、こういう予報を見るたびに感じます。
ファウストのあとに来た嵐と、8月27日のハワイ
ファウストが静かに抜けていったので今シーズンは穏やかに進むのかな、と思っていたら、8月に入ってからのほうがずっと騒がしくなりました。
まず来たのがハリケーン・ララです。8月25日の記事によると、ララは8月15日にカテゴリー1のハリケーンとして、16日には強い熱帯低気圧としてハワイに影響を与えたとされています。ファウストのように島の北を素通りしていくのではなく、生活のほうに届いてしまった嵐で、週が明けた8月17日(月)も公立学校が全校休校で、州と郡の官公庁や動物園、州立公園も閉まったままでした。
そのララの片づけがまだ続いているところへ、今度は南から熱帯低気圧モケが近づいてきます。こちらはオアフのはるか南を通っていって、オアフの雨は多くて1〜2インチのままで収まりました。8月25日の時点ではカウアイの南西で低気圧の名残になっていた、と伝えられています。同じ記事では、ララもハワイの主な島々からはずっと離れた北の海上まで移動して、風は時速50マイルまで落ちたとされていました。
2 tropical storms churn in East Pacific as active hurricane season continues | Honolulu Star-Advertiser
Moke has weakened into a remnant low far southwest of Kauai, but the El Nino-fueled waters of the Pacific continue to fuel several tropical weather disturbances this week.
同じ8月25日の記事では、東太平洋にも熱帯低気圧が2つ残っているものの、どれもハワイの天気に影響するものではなく、その週のハワイはおおむね晴れて風が強め、最高気温は80度台後半から90度台前半の見込みと書かれていました。ここまでの荒れようについては、「観測史上でも有数の強さのエルニーニョ」が2026年のハリケーンシーズンを押し上げているという説明が添えられています。エルニーニョとハワイの天気の関係は以前にも書いたことがあるのですが、こうして一シーズンの並びで見ると、言われていることの実感がだいぶ違ってきますね。
予報を見た週にやるのは、結局この3つ
ファウストは、名前を聞いたときに身構えたわりに、島の北を弱まりながら抜けていった嵐でした。ただ、そのあとのララとモケを見ていると、同じシーズンでも一つひとつまるで別物なんだなと思います。シーズンの全体像や、始まる前に電力会社が呼びかけていたことについては、今シーズンの流れをまとめた記事やシーズン前の備えの記事のほうにも書いているので、あわせて読んでもらえたら嬉しいです。
滞在中に予報を見たときにやることは、結局3つくらいに落ち着きます。買い出しを1日か2日前に倒すこと。飲み水を数本だけ足しておくこと。そして、翌日か翌々日にもう一度、予報を見ること。それで山場の2日が静かに過ぎたら、それはそれで「よかったねぇ」と言いながら、いつもどおり窓を開けてビールを開ければいいだけの話です。











