9月のハリケーン・ロウエル(Lowell)から1か月あまりたって、ハワイ州観光局(HTA)が、カウアイの予約の落ち込みを受けて、知事に緊急事態の宣言と250万ドルの宣伝の予算を求めているそうです。地元の新聞の10月18日付の記事によると、カウアイのすぐの被害はおおむね直ったのに、予約のほうが大きく落ちたままになっているとのこと。しかも予約の落ち込みはカウアイだけでなく、大きな被害を免れたオアフにも出ていると伝えられていました。オアフは嵐のあと、9月9日(水)には市の業務も学校も通常どおりに戻っていたので、ワイキキで過ごすことがほとんどの私たちは、この話に少し驚きました。この記事では、新聞が伝えた数字と、開いてきた観光地、本土からの便のお休みを並べて、最後に我が家が思ったことを書いています。
ニュースのあらまし
ホノルルの新聞スター・アドバタイザーが10月18日付で伝えた内容を、ざっくりまとめるとこうなります。
HTA seeks tourism emergency declaration after Lowell takes a toll | Honolulu Star-Advertiser
Kilohana Plantation General Partner Fred Atkins is still waiting for insurance funds needed to fully reopen and bring workers back to the 104-acre historic estate and visitor attraction in Lihue more than a month after Hurricane Lowell toppled 185 mature trees and left about 900 truckloads of debris.
- カウアイでは、ロウエルによるすぐの被害はおおむね直ったものの、旅行者の予約が59%落ちたと伝えられています
- そのため観光局は、グリーン知事に緊急事態の宣言と、250万ドルの宣伝の予算の承認を求めているとのことです
- 宣伝は承認されれば早ければ水曜に始まり、1月まで続ける予定と伝えられています。一緒に動くのはハワイ・ビジターズ・アンド・コンベンション・ビューロー(HVCB)、エクスペディア、コストコ・トラベル、航空会社です
- 観光局の暫定の代表を務める Caroline Anderson さんは、カウアイがまだ閉まっていると思われている、その受け止めを変えるための宣伝だと説明しているそうです
記事が出たのは10月18日(日)なので、ここでいう水曜は21日にあたります。承認がいつ下りるかで変わるので、日付は見込みとして読んでください。
予約の落ち込みは、カウアイだけではありませんでした
いちばん目を引いたのは、予約の数字です。記事では、エクスペディアのデータで州全体の需要が弱まっていたとされていて、観光局の諮問委員の Danny Ojiri さんの話として、島ごとの落ち込みが挙げられていました。
| どこ | 予約の落ち込み(記事による) |
|---|---|
| カウアイ | 59%減(旅行者の予約) |
| ハワイ州全体 | 23%減 |
| オアフ | 25%減 |
| マウイ | 7%減 |
| ハワイ島 | 6%減 |
どの期間の比べ方なのかまでは、記事には書かれていませんでした。なので「どこもこれだけ減った」と読むより、「カウアイ以外にも落ち込みが出ている」くらいに受け取っておくのがいいのだろうと思います。
観光局が心配しているのは、カウアイの落ち込みの大きさだけでなく、この州全体の数字も弱まっていることのようです。被害を受けたのはカウアイなのに、旅行を考えている人の中には「ハワイ全体がやられた」と受け取っている人がいるのかもしれない、という見方が記事に出ていました。Ojiri さんは「みんながもうこちらを見ていない。それが問題で、私にとってはそれが緊急事態なんです」といった内容のコメントをしています。
10月8日に開かれた観光局の臨時の会合では、委員の Joel Guy さんが「こちらには小さなお店がたくさんあって、文字どおりぎりぎりのところにいる」といった内容の話もしていたそうです。
宣伝の言葉は、島の人たちに聞いてから
宣伝の中身として記事に出ていたのは、こんなところです。
- 予算は250万ドル。観光局が知事の承認を求めている
- 承認されれば、早ければ水曜(21日)にも始まり、1月まで続ける
- 力を入れるのは、カウアイの南のポイプとコロア、それに北のノースショアといった観光のエリア
- 宣伝の言葉は、月曜(19日)にカウアイの関係者と会って意見を聞いてから決める。嵐で被害を受けた人たちの気持ちに配慮するため
いきなり「カウアイへどうぞ」と大きく打ち出すのではなく、先に島の人たちに言葉の選び方を聞く、という順番になっているのが印象に残りました。嵐のすぐあとには観光局自身が「カウアイ行きは日程を後ろにずらすか、ほかの島へ」と呼びかけていたので(ロウエルのあとの島ごとの様子)、その呼びかけが残ったままになっている、ということでもあるのでしょうね。
「閉まっている」と思われたままになる心配 ― マウイの山火事のあとの話
記事の中で何度か出てきたのが、マウイの山火事のあとの経験でした。観光局の委員の Terry Fischer さんは、災害のときに出すお知らせは長く尾を引く、という話をしています。
「一度そういうお知らせを出すと、スイッチを切ったように止まってしまう。そこからスイッチを入れ直してもすぐには戻らなくて、半年から1年かかるかもしれない。マウイはまだ元どおりになっていない」といった内容のコメントでした。
プリンスビルのリゾート、The Cliffs at Princeville の総支配人の Jim Braman さんも「被害を大きくひとくくりにしてしまう、という同じ失敗は繰り返したくなかった」といった内容の話をしていて、被害を受けたところにはそっとしておく時間が要るけれど、島の多くは行ける状態だ、と早めに伝えるようにしたそうです。
来ないでほしい時期と、来てほしい時期。その切り替えのお知らせを、どう伝えれば受け取る人にまっすぐ届くのか。読んでいて、災害のあとの島にとっては、片付けと同じくらい大事な仕事なんだなぁと思いました。
記事に出ていた、カウアイの観光地の様子
記事には、開いてきた場所の話もいくつか出ていました。
| どこ | 記事に出ていた様子 |
|---|---|
| 1 Hotel Hanalei Bay(ハナレイ湾のホテル) | 嵐のあと閉まっていたが、9月28日に再開。10月は少しずつ予約が戻ってきている |
| The Cliffs at Princeville | 停電は9日間。木曜の稼働は84%で、週末明けに89%の見込み。嵐の前は平均93%ほど |
| リマフリ・ガーデン&プリザーブ(Limahuli Garden & Preserve) | 10月15日(木)に再開 |
| ハエナ・ビーチパーク | 同じく10月15日(木)に再開 |
| ラワイ・ガーデンのビジターセンター | 月曜(19日)に再開の予定 |
| キロハナ・プランテーション(Kilohana Plantation) | ルアウとラムの試飲などは再開。ただし全面再開は保険金待ち |
キロハナ・プランテーションでは、ロウエルで大きな木が185本倒れて、出たがれきはトラック900台分ほどになったそうです。140人いた働き手のうち、いま続けて働けているのは12人もいない、という話も出ていました。共同経営者の Fred Atkins さんは「自然は経済より早く戻ってくる。これまでもいつも立ち直ってきたけれど、思うより時間がかかる」といった内容の話をしています。
ノースショアの宿は場所によって状況が違うので、行く予定のある方は openkauai.org のようなサイトで最新の様子を確かめるよう、記事でも案内されていました。開いている・閉まっているは日ごとに変わりうるので、宿とツアーの主催者に直接たずねておくのがいちばん確実だと思います。
カウアイの島のお店からは、ロウエルの復旧のための補助金に200件を超える申し込みが出ているそうです。旅行者のお金が減ると、地元の人もお財布のひもを締めるので、観光に関係のないお店まで響く、という商工会議所の方の話も出ていました。
本土からカウアイへの便の話
航空便の話も出ていました。観光局の幹部の David Uchiyama さんは「便の本数が減って、いずれ路線そのものを失ってしまうおそれがある」といった内容の心配を口にしています。
いまのところ、カウアイから撤退するという航空会社は出ていないそうです。HVCB の見通しでは、カウアイは3月まで予定していた座席のおよそ95%を保つ見込みとのこと。そのうえで、アラスカ航空とハワイアン航空は年末に向けて、アメリカ西海岸とリフエ(カウアイの空港)を結ぶ便を1日1往復減らすと伝えられています。
| 路線 | お休みになる期間(記事による) |
|---|---|
| オークランド〜リフエの毎日の直行便 | 11月1日〜19日、12月17日〜1月4日 |
| ポートランド〜リフエの毎日の直行便 | 11月20日〜12月16日 |
どちらもアメリカ本土からの便なので、日本からホノルル経由でカウアイへ渡る方には直接は関係しなさそうです。ただ、乗り継ぎの便を考えている方は、念のため航空会社の案内を見ておくと安心だと思います。航空会社のほうは、運賃のセールや地元のお店と組んだ宣伝で需要を呼び戻そうとしているそうです。
ワイキキで過ごす私たちが思ったこと
我が家はワイキキで過ごすことがほとんどで、島渡りをすることもほとんどないので、カウアイの宣伝が始まっても自分たちの過ごし方が変わることはありません。それでも、オアフの予約まで落ちているという数字には、少し考えさせられました。
ロウエルのときのオアフは、市の業務も学校も9月9日(水)から通常どおりに戻っていて、アラモアナ・ビーチパークも10日(木)の朝には全面再開していました。それでも「ハワイ」「ハリケーン」という言葉だけが先に届くと、どの島の話なのかまでは目に入らないことがあるのかもしれません。見出しの一語で予定を考え直す人がいる、というのは、ニュースを読む立場としては分かる気がします。
かといって、オアフの予約が落ちているから「ワイキキはいま空いているはず」とまでは、この数字からは言えません。記事に出ていたのは予約の数の落ち込みで、ホテルの混み具合や値段の話ではないからです。ワイキキの様子が気になる方は、泊まる予定の宿の案内を見るのがいちばん確かだと思います。
もうひとつ思ったのは、旅行者が行く・行かないが、そのまま島の働き手の暮らしにつながっているということでした。140人のうち続けて働けているのは12人もいない、という数字を読むと、片付けが終わったら全部元どおり、とはいかないんだなぁと感じます。カウアイ行きを考えていた方は、行くかどうかを決める前に、泊まる予定のあたりがいまどうなっているかを一度確かめてみるのがいいのかもしれません。我が家も、次に嵐のニュースを見たときは、島の名前まで落ち着いて読もうと思います。
まとめ
- ハワイ州観光局は、カウアイの予約の落ち込みを受けて、グリーン知事に緊急事態の宣言と250万ドルの宣伝の予算を求めていると伝えられています
- 新聞が伝えた予約の落ち込みは、カウアイが59%、州全体が23%、オアフが25%。比べた期間までは書かれていません
- 宣伝は承認されれば早ければ21日(水)に始まり、1月まで。言葉の選び方はカウアイの関係者の意見を聞いてから決めるそうです
- ハナレイ湾のホテルやリマフリ・ガーデン、ハエナ・ビーチパークなど、開いてきた場所も出ています。行く前は openkauai.org や宿・ツアーの主催者で確かめるのが確実です
- 本土とリフエを結ぶ便は、年末に向けて一部の期間お休みになります
ここに書いた数字や予定は、10月18日付の新聞の記事にもとづくものです(オアフが9月に通常どおりに戻った話は、9月の報道とロウエルの記事によります)。宣言が承認されたかどうか、宣伝が始まったかどうかは、このあとの発表で変わりうるので、気になる方は観光局や地元のニュースで最新の様子を確かめてみてください。今シーズンここまでにどの嵐がどう近づいたのかはシーズンの年表に、嵐が今年のハワイの経済に与えた影響の見通しはUHEROの予測を読んだ記事にまとめてあります。











