2026年のハワイのハリケーンシーズンで、8月末までにハワイの近くまで来た嵐は3つになりました。7月のファウスト、8月のララ、そのすぐあとのモケ。ただ、3つと言っても近づき方はまるで違っていて、島々の北を通ったもの、ハワイ島の南35マイルまで来たもの、はるか南を抜けていったものと、それぞれ別の顔をしています。私たちは海に入らず部屋でのんびり飲んでいる時間が長いのですが、それでも飛行機と停電のことだけは、この時期になると毎年少し気にかけています。6月からここまでを一本の年表に並べ直して、残り3か月をどう眺めておけばいいのかを書いておきます。
ニュースのあらまし
まずは今シーズンの枠組みから。
- シーズン: 2026年6月1日から11月30日まで
- 予報: アメリカ海洋大気庁(NOAA)の国立気象局ホノルル予報事務所が、中部太平洋で5〜13個の熱帯低気圧(まだ勢力の弱い段階の、台風のたまごのようなもの)を予想
- 平年: 4〜5個。今年は平年を上回る確率が70%、平年並みが20%、下回るのが10%
- 背景: 中程度かそれ以上のエルニーニョ(太平洋の赤道あたりの海面水温が高くなる現象)がシーズンを通して続く見込み。強いエルニーニョの年は中部太平洋の活動がぐっと増える傾向があるそうです
- 中部太平洋の範囲: 赤道より北で、西経140度から日付変更線までの海域
2026 Central Pacific Hurricane Outlook calls for above-normal season with 5-13 tropical cyclones | Maui Now
Forecasters are predicting an above-normal hurricane season for the central Pacific basin this year. NOAA’s outlook for the 2026 hurricane season, which runs June 1 to Nov. 30, predicts a 70% chance of an above-normal season, with at total of 5-13 tropical cyclones across the central Pacific in the forecast.
NOAA自身が言い添えているとおり、この予報は大きな気候の傾向を示すもので、いつ・どこに来るかを当てるものではありません。「今年は多めらしい」と頭の隅に置いておく、くらいの受け取り方がちょうどよさそうです。
6月からここまでに来た、3つの嵐
シーズンが始まってからの動きを、日付順に並べるとこんな形になります(すべて現地時間)。
| 時期 | 名前 | どこで生まれたか | ハワイへの影響 |
|---|---|---|---|
| 6月3日 | 熱帯低気圧アマンダ | 東太平洋。バハ・カリフォルニア半島南端から西南西に約1,475マイル(およそ2,400キロ) | 中部太平洋には入らず、警報・注意報もなし |
| 7月1日 | 熱帯低気圧ダグラス | 東太平洋。バハ半島南端の西南西およそ1,180マイル | ハワイへの脅威なし。3日ごろには消滅 |
| 7月23日 | ハリケーン・ファウスト | 東太平洋から、ヒロの東およそ1,950マイルで中部太平洋へ | 今シーズン初めて中部太平洋に入ってきた嵐 |
| 7月27日 | ハリケーン・ジェネビーブ | 東太平洋。バハ半島南端の南南西およそ520マイル | 一時カテゴリー5まで発達。海の上を進み、ハワイへ向かう進路ではなし |
| 7月28〜29日 | ファウスト | 島々の北を通過 | 東を向いた海岸に高波。29日に熱帯低気圧まで弱まる |
| 8月13日 | 熱帯低気圧ララ | ハワイ島の東で発達し、ハリケーン警報へ | 州が緊急事態を宣言。港と空港が段階的に閉鎖 |
| 8月15〜16日 | ララ | ハワイ島の南の端から35マイルを通過 | 上陸はなし。突風、停電、倒木。オアフでもバスが一晩運休 |
| 8月20〜21日 | 熱帯低気圧モケ | ハワイの南東で生まれ、21日に命名 | ララの片づけの最中に次の嵐 |
| 8月23〜24日 | モケ | 島々のはるか南を通過 | 大きな被害なし。25日には洪水警報も解除 |
Amanda strengthens into first tropical storm of 2026 Eastern Pacific Hurricane Season | Maui Now
At 8 a.m. on Wednesday, June 3, 2026, the center of Tropical Storm Amanda was located about 1,475 miles WSW of the southern tip of Baja California. Amanda is moving toward the NW near 8 mph and this motion is expected to continue through Friday, according to the National Hurricane Center.
こうして並べてみると、名前を聞いた嵐そのものは何度もあったのに、ハワイの周りの海域まで入ってきたのは3つ、という形です。アマンダもダグラスもジェネビーブも、生まれたのはメキシコ沖の東太平洋。ジェネビーブにいたっては東太平洋では2年ぶりというカテゴリー5まで発達しましたが、メキシコの海岸と平行に海の上を北西へ進む進路で、沿岸への警報も出ていませんでした。遠くの海で大きな嵐が育っていても、ハワイまでは届かずに終わることの方が多いんですよね。
そして7月の終わりから8月の終わりまでの1か月に、3つのうちの2つが固まって来ています。静かな2か月のあとに立て続け、というのが今年のここまででした。
3つとも、近づき方がまるで違いました
同じ「近づいた嵐」でも、こちらの受け止め方は3回とも別物でした。個別の顛末はそれぞれの記事に書いてあるので、ここでは違いだけを並べておきます。
ファウスト ― 北を通って、置いていったのは東の海岸の波
ファウストは7月23日にヒロの東およそ1,950マイルで中部太平洋に入り、24日にはカテゴリー2まで発達。そこからは弱まりながら西北西へ進み、28日から29日にかけて島々の北を通り抜けました。28日午後5時の位置はホノルルの東北東310マイルで、最大風速は時速40マイルまで落ちています。
残していったのは東を向いた海岸の高波で、一時は14〜18フィートの高波警報が出ました。ワイキキは南を向いた海岸なので、この東うねりを正面から受ける場所ではありません。週の進路の追い方やその間にやっておいたことは、ハリケーン・ファウストの記事にまとめてあります。
Tropical Depression Fausto Wednesday update: Storm now forecast to become post-tropical remnant low by late this morning | Big Island Now
High surf along east-facing shores of the island chain generated by Fausto also is declining quickly as the system passes by the state.
ララ ― 南35マイルまで来て、片づけが一週間続きました
3つのなかで、いちばん近くまで来たのがララでした。8月15日(土)にハワイ島の南の端から35マイル(56kmほど)のところを通り、中心が陸に乗り上げることはないまま抜けています。それでも突風はサウスポイントで時速70マイル超、コハラで80マイル超が観測されました。
効いてきたのは、風が収まってからの方でした。週明けの17日(月)は州の公立学校が全校休校で、州と郡の官公庁、ホノルル動物園や州立公園も閉鎖。オアフでは水道局が節水を呼びかけ、ワイキキではホテルからの落下物でカラカウア通りの一部が封鎖され、TheBusは土曜の夜から日曜の朝まで一晩止まりました。この週の閉まったもの・動いていたものはララの記事に一覧にしてあります。
Lala weakens into tropical storm, but dangerous conditions persist
Lala brought severe wind and rain as it passed by Hawaiʻi Island on Saturday. A tropical storm is in effect across the state as Lala moves west along the island chain.
モケ ― ララの片づけの最中に来て、はるか南を抜けました
モケは8月20日にハワイの南東で生まれ、21日に名前がつきました。23日(日)午前5時の中心はヒロの南南西310マイルで風は時速45マイル、同じ日の午後5時には南南西335マイル・時速35マイルと、近づくどころか離れながら弱まっていく形です。オアフの日曜から月曜は、おおむね晴れて風が強め、ときどきにわか雨という予報になりました。
25日(月)の午後にはヒロの西500マイル以上まで離れて洪水警報が解除され、ハワイ島の民間防衛の担当の方も「弱まって、じゅうぶん南に寄ったので、大きな影響は見られなかった」と話しています。同じ日の時点でララの停電がまだ4,600軒残っていたので、島としては「モケが増やさずに済んだ」というのが正直なところだったようです。数字の追いかけ方はモケの記事の方に書いてあります。
Moke passing far south of Hawaii but threatening Big Island with heavy rain | Honolulu Star-Advertiser
Tropical Storm Moke is beginning its trek south of the Hawaiian Islands this morning, bringing potentially life-threatening heavy rain to the Big Island, where the ground is still saturated from last weekend’s devastating Hurricane Lala.
With Moke gone without causing much new damage, Big Island returns to recovering from Hurricane Lala | Big Island Now
"It appears the storm (Moke) weakened enough and pulled south enough that we didn't see any significant impacts," said Darryl Oliveira, acting administrator of the Hawai‘i County Civil Defense Agency.
数の上では、シーズンはまだこれから
予報の5〜13個に対して、8月末までに中部太平洋へ入ってきたのは3つ。シーズンは11月30日まで、あと3か月あります。ここまでで3つだから今年は少なめでした、という話にはまだならないわけですね。
5月に予報が出たとき、気象台の担当の方は「かなり忙しい年になる可能性がある」と話していました。あわせて気になったのが、東太平洋から流れてくるのではなく、中部太平洋の中で生まれる嵐が増えるかもしれないという指摘です。遠くで生まれて何日もかけて近づいてくる嵐なら、ニュースを見てから買い出しに行く時間があります。近くで生まれると、その時間が短くなる、ということなんだそうです。
5 to 13 tropical cyclones predicted for potentially ‘very busy’ Central Pacific hurricane season | Big Island Now
An average season for the region sees only 4 to 5 tropical cyclones — which include tropical depressions, tropical storms and hurricanes, so officials urge everyone to be prepared.
これは今年、実際にそのとおりになりました。ファウストは名前を聞いてから島の北を通り抜けるまで一週間近くありましたが、モケはハワイの南東で生まれて、名前がついた翌々日にはもう島の南を通っています。同じ余裕が毎回あるとは限らない、というのは覚えておいてもよさそうです。
3回とも、私たちがやったことは同じでした
数を数えるより、その都度どのくらい構えたか、の方が滞在には効いてきます。正直に振り返ると、我が家が3回ともやったことは、買い出しを一日前に倒して、飲み水を何本か足しただけでした。
まず泊まる場所。きれいに管理の行き届いたヒルトン系の高い階に滞在しているので、低い土地の浸水のような心配はあまりしなくて済みます。これは思っている以上に安心材料です。逆に、停電でエレベーターが止まったときのことは頭をよぎるので、そこは高い階なりの弱点だなぁと感じています。
買い出しは、普段のリズムをそのまま使えます。我が家はまとめ買いをしたあと数日ほとんど出かけない、という波で動いているので、天気が崩れそうな週は、そのまとめ買いの日を一日か二日前に倒すだけで形になります。ビールは歩いて1〜2分のロングス、食材とフルーツは歩いて15分ほどのワイキキマーケットで。買い出し自体が夫婦の楽しみでもあるので、天気が崩れる前に済ませてしまうのはむしろ気が楽です。
水だけは、いつもどおりというわけにいきません。普段は日本から持って行った浄水ポットで水道水を濾して飲んでいて、重いペットボトルを部屋に積む暮らしはやめてしまいました。ただ、断水したり停電で水まわりの設備が止まったりすると、濾す元の水そのものが出てきません。その日は浄水ポットがただの空き容器になります。名前の付いた嵐が近づいてきた週だけは、飲み水を何本か買い足しておくのが現実的だと思っています。
停電は、ほかにも地味に効きます。部屋にこもってのんびり飲んでいる時間が長いので、冷蔵庫が止まって、冷やしておいたビールがぬるくなっていくのを眺めるのは、ちょっと切ないものがありますからね。スマホとタブレットは荒れそうな日の前に満充電にしておく、というだけでもずいぶん気が楽になります。
飛行機については、うちの場合そこまで慌てる話にはなりません。1回の滞在を25泊くらい取ることが多いので、行きや帰りが一日二日ずれても日程の前後で吸収できます。ララのときは金曜と土曜で島間便54便と本土便11便が欠航しましたから、日程がぎゅっと詰まっている方には大ごとだったはずです。それでもシーズン中は、自分たちの便のあたりに大きな嵐の予報が出ていないかだけ、ちらっと見ておくと安心です。
車を運転しない私たちは、給油や駐車場の段取りもありません。移動は歩きとThe Bus(市バス)、それにUberやLyftが中心なので、道路が冠水したというニュースが出たら、その日は出かけないというだけの話です。レンタカーで回る予定の方には、給油や車を停める場所という別の準備があるはずで、そこはそれぞれの過ごし方ですね。
シーズン中に滞在を組むときに、頭に入れておくのはこのくらいです。
- 行き帰りの日程に、少しだけ余白を持たせておく
- 泊まる部屋が低い土地でないか、ざっくり把握しておく
- 名前の付いた嵐が出たら、その週の買い出しを前に倒す
- 飲み水を何本か買い足しておく
- スマホとタブレットの充電を切らさない
- 予約を入れている場所があるなら、開いているかを前日に一度確かめる
いちばん最後の一行は、この夏に足したものです。ララのあとは動物園も植物園も州立公園も月曜まで閉まったままでしたし、ダイヤモンドヘッドは閉鎖に伴う予約の返金に4〜6週間かかると案内されていました。天気そのものより、予定の方が先に動くんですよね。
電力会社がシーズン前に呼びかけていた備えの中身(14日分の水と食料、停電対策、倒れた電線への注意など)は、シーズン開幕前の記事にまとめてあります。住んでいる方向けの数字なので、滞在で来ている身としては、そこから自分たちに要るものだけを抜き出す形になりますね。
残りの3か月は、こんな心づもりで
ここまでを一言でいえば、「予報は多めだったけれど、8月末までに近づいたのは3つ。そのうち本当に近かったのは1つ」。この先どうなるかは誰にもわかりませんし、だからこそ予報の数字は当たり外れで見るものではないんだろうなと思っています。名前の付いた嵐がハワイに向かってきたときに、買い出しを一日前に倒して、飲み水を何本か足して、充電をしておく。3回ともやったことはそれくらいで、あとはいつもどおりでした。
窓を開けて、午後の早い時間からリビングのソファでビールを開ける。その時間が、残りの3か月も静かに続いてくれたらいいなぁと思いながら、今シーズンの空を眺めています。
なお、ここに並べた日付と数字は2026年8月末までに出ていた発表と報道によるものです。シーズンはまだ続いているので、新しい嵐が出たときは各記事の方に書き足していきます。











