ハワイにザトウクジラが戻ってくる季節になりました。マウイ・ナウが11月4日に伝えたところでは、ハワイ諸島ザトウクジラ国立海洋保護区が「これから数か月、クジラとの衝突はとても現実的な危険です」として、ボートに乗る人に速度を落とすよう呼びかけています。私たちはホエールウォッチングのボートに乗ったことが一度もなく、海を眺めていて遠くにポツンと潮吹きが見えれば「あ、いるねぇ」と言い合う程度の付き合い方です。それでも、クジラに近づいていい距離のルールは、SUPやカヤック、海で泳ぐ人にまで掛かっていると知って、これは知っておいて損はないなと思いました。
ニュースのあらまし
Boaters urged to slow down as humpback whales return to Hawaiʻi waters | Maui Now
Federal officials are reminding boaters to slow down and keep their distance as humpback whales return to Hawaiʻi for the winter breeding season.
マウイ・ナウが11月4日付で伝えた保護区の呼びかけの中身は、こんな感じです。
- 毎年11月から5月にかけて、何千頭ものザトウクジラが、繁殖・出産・子育てのためにハワイへやってくる
- 数がいちばん多くなるのは、例年1月と2月(元記事による。保護区の公式サイトのボートの手引きでは1月から3月)
- 保護区の責任者 Kim Hum さんは「これから数か月、クジラとの衝突はとても現実的な危険です」といった内容のコメントを出しています
- 水深600フィート(約180m)より浅い海では、ボートは15ノット以下か、安全に滑走できる速度で走るよう求めている(元記事による)
- クジラを見に近づくとき・離れるときは、400ヤード(約370m)以内では6ノット以下に落とすよう求めている(元記事による)
- アラスカまで2,500マイル以上を泳いで戻る前の大事な時期なので、クジラに空間を空けてあげてほしい、という趣旨
ニュースとしては「船に乗る人は気をつけて」という呼びかけですが、読み進めると、海に入る人全員に関わる話が混ざっていました。
100ヤード(約90m)ルールは、ボートだけの話ではない
いちばん大事なのはここです。保護区の公式サイトの規則のページでは、ザトウクジラにはどんな手段でも100ヤード(約90m)以内に近づいてはいけないとしています。対象として名前が挙がっているのは次のとおりです。
| 近づき方 | 守る距離 |
|---|---|
| ボート・船 | 100ヤード(約90m) |
| SUP(スタンドアップパドルボード) | 100ヤード(約90m) |
| カヤック・カヌー | 100ヤード(約90m) |
| 海で泳いでいる人 | 100ヤード(約90m) |
| ドローン | 100ヤード(約90m) |
| 飛行機などの航空機 | 1,000フィート(約300m) |
表の出典: ハワイ諸島ザトウクジラ国立海洋保護区の公式サイト「Regulations」のページ(ドローンはマウイ・ナウの記事でも対象として挙がっています)。
しかもこのルールは、保護区の中だけでなくハワイの海全体と、その沖200海里まで、季節を問わず一年中かかるとされています。ワイキキの沖でSUPやカヤックを借りる方、ドローンで海の写真を撮る方は、クジラの季節だけでも頭の片隅に置いておくと安心です。
100ヤードは、アメリカンフットボールのフィールドの端から端くらい。海の上で目測すると、思っているよりずっと遠い距離だと思います。「ちょっとだけ近くで見たい」で寄っていける距離ではないので、見つけたらその場で眺める、が正解のようです。
陸からも海からも見られるのは11月から4月
保護区の公式サイトのトップでは、11月から4月にかけて、陸からも海からもクジラが見られるとしています。シーズン自体は、公式のボートの手引きでは、おおむね11月から5月です。マウイ・ナウによると、ザトウクジラが繁殖・出産・子育てをするのは、アメリカの中ではハワイだけ、と保護区は説明しています。
ボートに乗らない私たちの、クジラとの付き合い方
本格的にクジラを見るなら、ホエールウォッチングの船を予約するのが王道です。ただ、私たちは早朝の集合や船酔いの心配、往復の長さを考えると腰が重く、結局一度も予約したことがありません。
それでも保護区の公式サイトが書いているとおり、クジラは陸からも見られます。海を眺めていて、遠くで白いしぶきがふわっと上がると、それだけで結構嬉しいものです。ジャンプする姿まで見られたら大当たりですが、しぶきだけでも「あ、いるねぇ」で十分。それくらいの付き合い方が、出かけない私たちにはちょうどいいんですよね。
考えてみると、陸から目で眺めているだけなら、そもそも近づきようがありません。いちばん気楽にルールを守れる見方でもあるわけです。
浜から数える「サンクチュアリ・オーシャン・カウント」
陸から眺める楽しみ方には、保護区が続けている「サンクチュアリ・オーシャン・カウント(Sanctuary Ocean Count)」という取り組みもあります。
- 1996年に始まった、ボランティアが海岸からクジラを数える市民参加の調査
- 毎年1月・2月・3月の最終土曜日、午前8時から正午ごろまで(8時前に集合)
- オアフ・ハワイ島・カウアイの海岸が対象
- 申し込みは公式の oceancount.org から
2026年の回は1月31日・2月28日・3月28日でした。次の2027年の回は1月30日・2月27日・3月27日で、申し込みはそれぞれ1月4日・2月1日・3月1日のハワイ時間正午から(締め切りは1月18日・2月15日・3月15日の正午)と、申し込みサイトの oceancount.org に出ています。オアフの観測地点は、同じサイトの Site Locations に地図があり、ダイヤモンドヘッドやマジックアイランドなどが並んでいます(開かれない地点もある、との注記つき。地図は2026年1月に載ったもの)。
ボートに乗らなくてもクジラの調査に関われる、というのは、出不精にはなかなか嬉しい仕組みです。
クジラを見かけて困ったときの連絡先
クジラが網やロープに絡まっているのを見かけたときや、近づきすぎている船を見かけたときの連絡先も、保護区の公式サイトに出ています。
| こんなとき | 連絡先 |
|---|---|
| 絡まったクジラを見かけた | NOAA 漁業局のホットライン 888-256-9840(船の無線なら米国沿岸警備隊の VHF 16チャンネル) |
| 近づきすぎなど、ルール違反を見かけた | NOAA 漁業局の取り締まりホットライン 800-853-1964 |
マウイ・ナウの記事では、888-256-9840 はけがをした、または網などに絡まった海の哺乳類を見かけたときの連絡先としていて、違反は州の自然資源保護の取り締まり部門(DOCARE)の窓口や、通報用の DLNRTip アプリでも知らせられるとしています。自分で近づいて助けようとするのは危ないので、見かけたら離れたところから連絡、という順番が大事そうです。
これまでのザトウクジラの話
ザトウクジラについては、ハワイで冬を越したクジラがカナダ沖まで戻った話や、マウイの団体が加わった研究で地球の反対側まで泳いだ記録の話も読んできました。
春に北へ帰っていったクジラたちが、また戻ってくる季節。そう思って読むと、今回の呼びかけも少し違って見えてきます。
まとめ
- ハワイのザトウクジラが陸からも海からも見られるのは11月から4月(保護区の公式サイトのトップ)。シーズン自体はおおむね11月から5月
- 近づいていいのは100ヤード(約90m)まで。ボートだけでなく、SUP・カヤック・海で泳ぐ人・ドローンも対象(航空機は1,000フィート)
- ボートの速度の目安(航行中は15ノット以下、クジラに近づく・離れるときは400ヤード以内で6ノット以下)は、保護区の公式サイトのボートの手引きとマウイ・ナウが伝えた呼びかけによる
- 絡まったクジラは 888-256-9840、近づきすぎの船は 800-853-1964
- 陸から眺めるのがいちばん気楽で、ルールも守りやすい
次に海を眺めていて白いしぶきを見つけたら、いくつ見えたか数えてみようか、と夫婦で話しています。規則・連絡先・オーシャン・カウントの内容は、2026年11月5日に保護区の公式サイトと oceancount.org で確かめました。











