カウアイの食堂兼ベーカリー「Tip Top」が110年 ― 広島から渡った日系移民が始めた店が4代続く、ハワイの食の底力に感心した話


ハワイのローカルな食べ物の話には、ときどき「えっ、そんなに前から?」と驚く老舗が出てきます。今回見かけたのは、カウアイ島のリフエにある食堂兼ベーカリー「Tip Top(ティップトップ)」のお話。なんと1916年の創業で、今年で110年になるそうです。しかも始めたのは広島から海を渡った日系移民の方で、今は4代目が看板を守っている。普段カウアイまで足を運ぶことはない我が家ですが、こんなに長く愛されているお店の話は、読んでいてこちらまで嬉しくなりました。

ニュースのあらまし

The Story of Kauaʻi’s Tip Top Motel, Café, & Bakery

The Story of Kauaʻi’s Tip Top Motel, Café, & Bakery

In a quiet Kaua‘i neighborhood, where plantation-era homes sit beside a modest mix of local shops and businesses, Tip Top Motel, Café, & Bakery You’ll find the heart of an island, a touch of history and a home away from home at Tip Top Motel & Cafe, which is celebrating 110 years of service.

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HAWAIʻI Magazine

Tip Top は、1916年11月に大田傳次郎(おおた でんじろう)さんがカウアイ島で始めたお店です。傳次郎さんは広島からハワイへ渡った移民で、最初はリフエの別の場所でお店を開いていました。その後、1925年に息子のミッチェルさんが引き継ぎ1965年に現在地のリフエ(‘Akahi Street)へ移転しています。

看板メニューはいくつもありますが、特に有名なのがオックステールスープ(牛テールの煮込みスープ)。ミッチェルさんが考案した一品で、朝と昼に出されます。ほかにも毎日生地から手作りするパンケーキや、ハワイの作物を使ったマカダミアナッツクッキーなど、地元で長く親しまれてきた品が並びます。

そして今は、傳次郎さんの4代目にあたるジョナサンさんが店を切り盛りしているとのこと。2023年にはハワイのスモールビジネスの殿堂入りも果たしています。110年という節目に、あらためてその歩みが紹介されていました。

広島から渡った人が始めた店が、4代続いている

この話で一番じんわり来たのは、やっぱり日系移民の方が築いたお店が110年も続いているというところでした。日本人としては、なんとも親しみのわく話です。

ハワイのローカルフードをよく食べていると気づくのですが、その土台には日系移民が持ち込んだ味がたくさんあります。ムスビ然り、照り焼き然り、そしてオックステールスープのような煮込みもそう。海を渡った人たちが故郷の味を少しずつハワイの暮らしに溶かしていって、それが何世代もかけて「ハワイの地元飯」として根づいた。Tip Top はまさにその生き証人のようなお店なんだなぁと思いました。

110年のあいだには、戦争もあれば台風もあったはずです。それでも代を継ぎながら同じ味を出し続けるというのは、簡単なことではないですよね。観光地の華やかなお店とはまた違う、地元にしっかり足をつけた強さを感じます。

オックステールスープは、ハワイのローカル食でも沁みる一杯

我が家はハワイ滞在中、歩いて行ける範囲のお店からローカルフードを買って帰り、部屋でのんびり食べるのが定番です。バーガーやガーリックシュリンプ、ポケといったあたりが日々の主役なのですが、オックステールスープもハワイのローカル食の中ではぐっと沁みる一杯で、見かけると気になります。

しょうがの効いたあっさりめのスープに、ほろりと崩れる牛テール。こってりした揚げ物や肉ものが続いた滞在の途中で、ああいう優しい煮込みに出会うと、体がほっとするんですよね。ワイキキの方でも、長く続いているリリハ・ベーカリーのような地元のお店でオックステールスープに出会えることがあって、ああいう何十年も同じ味を出してくれる店は、やっぱりありがたい存在だなぁと感じます。

Tip Top のオックステールスープも、きっとそういう「地元の人がずっと食べ続けてきた、間違いのない一杯」なのだろうと思います。カウアイまでは行かないので味見はできませんが、想像するだけでお腹が鳴ってきます。

カウアイには普段行かないけれど

正直なところ、我が家の滞在はオアフのワイキキ周辺が中心で、カウアイの方まで足をのばすことはほとんどありません。ちょうど昨日もカウアイの名門リゾート「ココ・パームス」が再開発される話を書いたばかりなのですが、そのときも「行かないけれど気になる島だなぁ」と眺めていました。

それでも、こういう110年続く食堂の話を読むと、ハワイという場所の食の奥行きをあらためて感じます。きらびやかなリゾートの話とは対極にある、地元の人が毎朝スープをすすりに来るようなお店。そういうお店があちこちの島に根を張っているからこそ、ハワイの食は面白いんですよね。

私たちが通っているワイキキのお店たちも、こんなふうに何代も続いていってくれたら嬉しいなぁ。冷蔵庫のビールを片手に、そんなことをのんびり考えたニュースでした。

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