誰とも一言も話さずにとんかつを食べて帰れるお店が、ホノルルにできるそうです。「カツゼン(Katsu Zen)」という新しいお店で、オープンは2026年7月29日。仕切りのあるひとり用の席に座り、注文も支払いもQRコードで済ませて、ご飯のおかわりが欲しいときは木の札を出してベルを鳴らす。ラーメンの一蘭でおなじみのあの形を、とんかつでやるお店です。人づきあいが苦手というより単純に出歩くのが面倒な私たちですが、この「話さなくていい」という一点だけは、読んだ瞬間に手が止まりました。ただ、我が家の一日と重ねてみると、素直に喜べないところもいくつかあります。
ニュースのあらまし
Aloha State Daily | Hawaiʻi’s first solo dining katsu experience is opening in Honolulu
Katsu Zen — located in the former space of Little G Café in the 808 Center — is opening to the public on Wednesday, July 29. Customers can scan the QR…
記事に出ていた中身を整理すると、こんなところでした。
- 場所はホノルルの808センター(808 Sheridan St.)。以前「Little G Café」が入っていた場所で、オーナーもそのお店を手がけていたジャレッド・ブラウンさん
- オープンは2026年7月29日(水)。ハワイで初めての、ひとりで食べることを前提にしたカツのお店だそうです
- 席は仕切りのあるひとり用のブース席と、12人分のカウンター席。仕切りは外せるので、二人以上で一緒に食べることもできる
- 注文はQRコードを読み取ってメニューを見て、そのまま注文と支払いまで済ませる形
- 店員さんを呼びたいときは、「ご飯おかわり」「キャベツおかわり」などと書かれた木の札と、席に置かれたベルを使う
- メニューはロースかつ(240gと180g)、豚の首まわりの肉(pork collar)のカツ、チキンカツ、タイガーシュリンプのカツ。注文を受けてから揚げる
- セットにはご飯とスープがついて、ご飯とキャベツはおかわり自由。ソースは自家製で、ゴマをその場で挽いて合わせられる
- 値段は記事の時点ではまだ決まっていないとのこと
- 予約は取らず先着順。今のところ持ち帰りはなく、店内で食べる形だけ
営業時間は火曜から日曜の11時から夜8時、月曜がお休み。記事の中には朝10時からという書き方も出てきていて、そこだけ少し揺れているので、行くなら念のため確かめてからのほうが安心そうです。
【8月27日追記】値段が出て、カツ丼は持ち帰りできるようになりました
開店からひと月ほど経って、ホノルル・マガジンがお店の中身を詳しく伝えていました。開店前には決まっていなかった値段が出ていて、しかも私たちが見送る理由に挙げていた持ち帰りのほうが、先に変わっていました。
Katsu Zen Brings J-Style Solo Dining to Honolulu’s Tonkatsu Scene
Katsu Zen is not just a 180 from the former owners of Fat Cheeks and Little G’s, it’s where you can dine in zen-like silence.
ソフトオープンの値段
記事に出ていたのはソフトオープン価格として案内されているもので、正式な値段はまた別に決まる可能性があります。
| セット(ソフトオープン価格) | 値段 |
|---|---|
| ポークメンチカツセット | 18ドル |
| チキンカツセット | 19ドル |
| トラエビ(タイガーシュリンプ)カツセット | 23ドル |
| とんかつセット 180g | 25ドル |
| とんかつセット 240g | 27ドル |
| ポークロインカツ丼 180g | 24ドル |
| ポークロインカツ丼 240g | 26ドル |
| トラエビカツ丼 | 22ドル |
| 豚汁へのアップグレード | +1.50ドル |
ホノルルの新しいお店としては、驚くほど高くも安くもない、というあたりでしょうか。いちばん手ごろなのがメンチカツの18ドルで、名前を聞いて真っ先に思い浮かべるとんかつは25ドルから。180gと240gで2ドル差というのは、迷ったときに小さいほうを選びやすい刻み方だなと思いました。
セットの中身と、デザートが付くこと
セットに付いてくるのはキャベツ(ゴマドレッシング)、漬物、味噌汁、ご飯。おかわりは開店前に伝えられていたとおり、「ご飯おかわり」「キャベツおかわり」と書かれた札を使う形です。
そして開店前の記事には出ていなかったのが、全セットにデザートが付くこと。もちアイスかミニフルーツタルトのどちらかを選べるそうです。これで18ドルから、と考えると、見え方がだいぶ変わってきます。
営業時間と、これから出てくるもの
- 営業時間: 火曜〜日曜の11時〜20時。ラストオーダーは19時30分(開店前の記事では朝10時からという書き方も混ざっていましたが、こちらでは11時で揃っていました)
- 裏メニュー: とんかつサンドやローストビーフサンドといった品が今週から出るとのこと
- 朝ごはん: 9月の初めに始める予定
そして、カツ丼は持ち帰りができます
いちばん大きいのがここでした。開店前は「今のところ持ち帰りはなく、店内で食べる形だけ」と伝えられていて、私たちはそれを理由に見送るつもりでいたのですが、カツ丼は持ち帰りができると書かれていました。揚げたてを一番いい状態で、という考え方は残しつつ、丼ものなら持ち出せる形にしたのだと思います。
理屈としても納得できます。衣がソースに触れずに済むカツと違って、カツ丼は最初からタレをまとった料理なので、少し時間が経つ前提でも味の設計が崩れにくいはずです。持ち帰りを一律で断るのではなく、持ち帰っても美味しい一品だけを選んで出す、というのは丁寧なやり方だなと感じました。
一蘭のあの仕切りを、とんかつで
面白いのは、あの形をラーメンではなくカツに持ってきたところです。オーナーのブラウンさんは「興味を引くけれど、同時に見慣れてもいるものを出したかった」「ハワイの人はみんなカツを分かっている」「急かされず、気を遣わずに楽しんでほしい」というようなことを話しているそうです。
たしかに、ハワイでカツというのは特別な料理ではなさそうです。チキンカツはプレートランチの定番という印象がありますし、カツを出すお店も珍しくないように思います。誰もが味を知っているものだからこそ、味の説明を省いて「食べ方のほう」で新しさを出せる、という考え方なのかもしれないなと思いながら読みました。
私たちも、揚げ物そのものは大好きです。ハワイに行けばジョリビーのフライドチキンをバケツで買って部屋の冷凍庫に入れておくくらいには、揚げたものとビールの組み合わせを信頼しています。ただ、とんかつは日本でも普通に食べられるので、ハワイで外に食べに行ける回数のうちの一回をそこに使うかどうかは、毎回ちょっと考えてしまうところです。
お店の中身をざっと並べてみました
条件がいくつも並ぶと分かりにくいので、記事に出ていたことを表にしてみます。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 場所 | 808センター(808 Sheridan St., Honolulu) |
| オープン | 2026年7月29日(水) |
| 営業時間 | 火〜日 11時〜20時(ラストオーダー19時30分) / 月曜休み |
| 席 | 仕切り付きのひとり席 + カウンター12人分 |
| 注文・支払い | QRコードで完結 |
| 呼び出し | 木の札とベル(ご飯・キャベツのおかわり) |
| 予約 | なし・先着順 |
| 持ち帰り | カツ丼は持ち帰り可(開店前は「店内のみ」でした・8月27日追記) |
メニューのほうはこんな顔ぶれです。
| メニュー | 中身 |
|---|---|
| ロースかつ | 240g と 180g の2種類 |
| ポークカラーのカツ | 豚の首まわりの肉 |
| チキンカツ | 鶏 |
| タイガーシュリンプのカツ | 海老 |
どれもご飯とスープつきで、ご飯とキャベツはおかわり自由。値段はこの時点ではまだ出ていませんでしたが、その後に判明した分は上の追記にまとめてあります。ロースかつに240gと180gの二段構えがあるのは、地味にありがたいところだと思いました。海外のお店で量が読めないまま頼んで、最後のほうで苦しくなる、というのはよくある話なので。
「話さずに食べられる」が、私たちにはけっこう効きます
海外のお店で一番面倒なのは、実は注文そのものではなくて、タイミングを計る時間だったりします。メニューを決めたのに店員さんが来ない、来たと思ったら別の席に行ってしまう、お会計をお願いしたいのに目が合わない。そのたびに顔を上げて店内を見渡す、あの細切れの気配りが、けっこう疲れるんですよね。
QRコードで注文と支払いまで済ませて、おかわりが欲しいときは木の札を出してベルを鳴らす。これなら、こちらから誰かをつかまえる時間がまるごと消えます。しかも札に「ご飯おかわり」と書いてあるということは、こちらは英語を考える必要すらないわけで、そこまで整えてくれるのかと感心しました。
仕切りが外せて二人でも食べられる、というのもいいなと思います。私たちの場合、静かに食べたいというより、隣の席との距離を気にせず自分たちのペースで食べたい、というのが本音に近いので、外せる仕切りというのはちょうどいい落としどころに思えます。
我が家に合わなかった二つのうち、一つは消えました
開店前の時点で、我が家の過ごし方とうまく重ならないところが二つありました。ひと月経って、そのうちの一つがなくなっています。
一つ目は持ち帰りがないことでした。私たちはお店で座って食べるより、歩いて行ける範囲のお店で買って帰って、部屋でのんびり食べるほうが好きです。お店に入って食べるのは、そこでしか飲めない美味しいビールがお得に飲める、というときがほとんど。だから「店内で食べる形だけ」と聞いた時点で、我が家がいつもやっている形とは重ならないな、と一度は畳んでいました。それが今は、カツ丼なら持ち帰れます。丼ものだけに絞ったのがまた良くて、持ち帰って美味しいものだけを出す、という線の引き方には好感を持ちました。
もう一つは時間です。こちらは今も残っています。11時から夜8時(ラストオーダー19時30分)という営業時間は、ごく普通の使いやすい時間帯だと思うのですが、昼を食べずに午後3時ごろから部屋で飲み始める我が家の一日とは、正面から重なってくれません。夕方に出かけてお店で食べて帰ってくると、その日はもう飲む時間がまるごと後ろにずれてしまいます。
ただ、持ち帰りができるなら話は別です。飲み始める前に丼を一つ買って帰って、部屋で開ける。それなら我が家のいつもの形にそのまま乗ります。カツ丼が22ドルから26ドル、というのも、ワイキキで似たものを食べることを思えば飛び抜けた値段ではありません。9月に始まるという朝ごはんのほうは、朝はコーヒーとフルーツで済ませてしまう我が家には縁がなさそうですが。
こうやって並べると、お店の作りが悪いという話ではなく、単に我が家の暮らし方が偏っているというだけなんですよね。昼にしっかり食べる人にとっては、ひとりでも入りやすくて、気を遣わなくて、おかわりまで自由という、なかなかありがたいお店だと思います。
場所は808センター ― 7月にコーヒー店が入ったあの建物
場所のシェリダン通りは、ワイキキから歩いていく通りではありません。ピンクトロリーでアラモアナセンターまで出て、そこからもうひと歩き、というあたりです。同じ通り沿いには アラモアナのパキスタン料理店「Biryani King」 もあるのですが、このあたりは「センターのついでにふらっと」とまではいかない場所なんですよね。
ただ、今回のカツゼンが入る808センターには、7月の初めに サードスペース・コーヒー というコーヒー店が3階にオープンしたばかりです。同じ建物にコーヒーとカツが揃ったとなると、一度出かけたときにまとめて済ませられるので、あの辺りに足を運ぶ理由としては前より少し重くなりました。出かける回数を増やさずに、一回の外出で用事をまとめる、というのが我が家のいつものやり方なので、こういう固まり方はありがたいです。
ハワイの新しいお店については、少し前に 2026年のハワイ新店まとめ でも書きました。オアフのとんかつ屋さんが話題になったばかりのところに、今度は食べ方のほうで新しいお店が出てくるあたり、カツという料理はまだまだ動きがありそうです。
「持ち帰りができたら考える」と書いたら、できるようになりました
開店前のこの記事を、私たちは「もしこの先、持ち帰りができるようになったり、ビールが置かれたりしたら、そのときは我が家も真面目に考えると思います」と締めていました。ひと月でその半分が現実になってしまったので、こちらも約束どおり真面目に考えることになります。
とはいえ、予約なしの先着順というところは変わっていません。話題になっている間はそれなりに待つことになりそうで、待つのは我が家が一番苦手にしているところです。ただ、持ち帰りなら並ぶ時間は食べる時間と切り離せるので、そこの重さもいくらか軽くなりました。
このお店の話がずっと頭に残っているのは、「誰とも話さずに、自分のペースで食べて帰れる」という一点が、私たちの好みにあまりにも近いからだと思います。私たちが目にする新しいお店の話は、テラスが気持ちいいとか、大勢で取り分けて盛り上がれるとか、賑やかな方向のものが多い印象なので、そこへ逆にひとりの静けさを持ってきたお店が出てくるのは、面白いなあと感じます。
残る条件はビールです。ここが揃ったら、アラモアナ方面に出た日の帰りにカツ丼を一つ買って、部屋で開ける、という日が来ると思います。
なお、ここに並べた値段はソフトオープン価格として案内されているもので、正式な値段はまた変わる可能性があります。裏メニューや朝ごはんも始まったばかり・これからの話なので、出かける前にお店の案内を確かめてみてください。











