ハワイの「穴場」がもう混んでいる ― SNSで広まる隠れた名所と、混雑を避ける私たちの過ごし方(2026年)
「やっと見つけた穴場なのに、気づいたら同じ場所にみんながいる」――そんなハワイの話を扱った記事を見かけました。誰かがSNSに載せた一枚の写真が広まると、静かだった浜辺や滝が、いつの間にか人の集まる場所に変わっていく。正式な立ち入り規制がかかるよりも先に、そういう変化のほうが早く起きているのだそうです。私たちはそもそも出歩くのが得意ではなくて、ガイドブックの有名どころを一つずつ回るような旅もあまりしないのですが、この話はなぜだか他人事に思えませんでした。自分たちだって、ハワイに何度も通っている旅行者の一人ですから。
ニュースのあらまし
ハワイの現地情報メディアが、「隠れた名所が隠れた名所でなくなっていく」という現象について書いていました。
You Found Hawaii's Hidden Gem. Problem Is, So Did Everyone Else.
You found Hawaii's hidden gem online. By the time you arrive, the parking lot is full, crowds have followed, and the place that looked untouched has already changed.
記事の言いたいことをかいつまむと、こういう話です。地元の人が静かに過ごしてきた浜辺や川、展望台のような場所が、SNSで一枚の写真として広まると、あっという間に世界中の旅行者が訪れる目的地に変わってしまう。書き手はそれを「SNSが浜辺を閉じたわけではない。ただ、そこに立って写真を撮る人が誰なのかを変えただけだ」という言い方でまとめていました。法律や規制で立ち入りが制限されるより先に、その場所が持っていた静かな空気のほうが先に失われていく、というわけです。
記事の中では、実際にハワイのあちこちで混雑への対策が進んでいることも紹介されていました。オアフ島のダイヤモンドヘッドは2022年から、ハワイに住んでいない人は事前予約が必要になりました。マウイ島のワイアナパナパ州立公園も、時間を指定した予約制(合計でおよそ$15)が2021年から始まっていて、キャンプは2026年7月から2027年3月まで休止するそうです。カウアイ島のハエナ州立公園では、予約とシャトルバスを組み合わせて車の数を減らす仕組みが入りました。さらに2026年の初めには、ワイルア滝など四つの州立公園で、ハワイに住んでいない人向けの新しい料金が始まっています。
料金の中身については、州立公園4カ所の新しい駐車料金の話を別の記事にまとめたので、そちらも合わせて読んでみてください。ここでは料金そのものよりも、「静かな場所に人が集まる」という部分のほうに、我が家は引っかかりました。
「見つけた穴場」に、もう人だかり
この「見つけたと思ったら、もうみんな知っていた」という感覚、旅の好きな人なら一度は覚えがあるのではないでしょうか。
昔なら、誰かが小さな声で「あそこ、意外と空いていていいよ」と教えてくれた場所が、本当に静かなままだったりしました。今は違います。良い場所は、良いというだけで一瞬で広まります。きれいな写真が一枚あれば、次の週末にはもう同じ構図を撮ろうとする人が並んでいる、ということも珍しくないようです。悪気があるわけでもなくて、みんな「良いものを見たい」と思って動いているだけなので、これはもう時代の流れなんだろうなぁと思います。
我が家のように出歩くのが得意でない夫婦でも、「今なら空いているらしい」と小耳に挟んで、たまに重い腰を上げて行ってみることがあります。そうして着いてみたら、思っていたより人がいて、そそくさと戻ってきた、という肩透かしも正直あります。良い場所というのは、たいてい他の人にとっても良い場所なんですよね。当たり前の話なのですが、行ってみて改めてそう感じることが多いです。
昔のハワイと、今のハワイ
こういう話になると、思い出すのがハナウマ湾のことです。夫婦でハワイに通い始めた頃、まだあまり観光ずれしていなかった時期に、二回ほど行ったことがあります。当時はオプショナルツアーに申し込めば、予約なんて気にせずそのまま連れて行ってもらえました。透き通った湾でシュノーケリングをして、ウミガメにも会えて、素直にきれいな場所だなぁと思った記憶があります。
それが今では、事前の予約が必要になっていると聞きます。人が増えすぎて、自然を守るために仕組みを整える必要が出てきた、ということなのでしょう。「昔は予約なんて要らなかったのに、様変わりしたなぁ」という気持ちはありますが、だからといってその仕組みを残念に思うわけではありません。実際にそこで暮らして、その海や森を守っている人たちからすれば、混雑を放っておくほうがよほど困る話です。訪れる人数を区切ったり、料金を設けたりするのは、地元の生活と自然を守るための、まっとうな折り合いのつけ方なんだろうなと受け止めています。
ここ10年近くは、私たちも観光らしい観光をしなくなって、ハナウマ湾にも足を運んでいません。今後わざわざ行く予定もないのですが、それは「もう用がない」という冷たい話ではなくて、あの頃きれいな海を見せてもらった思い出は、今も静かに残っています。時代とともに訪れ方が変わっていくのを、少し離れたところから眺めている、という感じでしょうか。
今、静かな場所を訪ねるときの決まりごと
旅行者として気になるのは、「じゃあ今のハワイで有名な場所に行くなら、何を用意しておけばいいのか」というところだと思います。代表的な場所の、今のアクセスの決まりごとを簡単に並べてみました。
| 場所 | 島 | 今の決まりごと |
|---|---|---|
| ダイヤモンドヘッド | オアフ島 | ハワイ非居住者は事前予約が必要(2022年〜) |
| ハナウマ湾 | オアフ島 | 事前予約制。人数を区切って自然を保護 |
| ワイアナパナパ州立公園 | マウイ島 | 時間指定の予約制(合計およそ$15)。キャンプは一時休止中 |
| ハエナ州立公園 | カウアイ島 | 予約+シャトルバスで車の数を制限 |
| ワイルア滝など州立公園4カ所 | カウアイ島ほか | 非居住者向けの新しい料金(2026年〜) |
こうして並べてみると、有名な場所ほど「ふらっと行って、そのまま見られる」時代ではなくなってきているんだなぁと感じます。行きたい場所が決まっている人は、旅の予定を立てる段階で、予約が要るかどうかを一度調べておくと安心だと思います。せっかく現地まで行ったのに、予約がなくて入れなかった、というのがいちばんもったいないですから。
もちろん、混雑を承知のうえで有名な場所を訪ねるのは、それはそれで旅の醍醐味です。人が集まるのには集まるだけの理由があって、実際に自分の目で見れば「なるほど、これは並んででも見たくなるなぁ」と納得することも多いはずです。行きたい人が気持ちよく行けるように、こうした仕組みが少しずつ整っていくのは、悪くないことだと思います。
出歩かない私たちの、落ち着く場所
一方で、我が家のように「そもそも人の多い場所が得意ではない」夫婦にとっては、この「穴場が穴場でなくなる」流れは、ちょっとした答え合わせのようにも感じます。無理をして話題の場所を追いかけなくても、私たちにはワイキキの部屋と、歩いて行けるスーパーと、ラナイで飲む冷えたビールがあれば、たいてい満ち足りてしまうからです。
ハワイに来ると、つい「あれも見なきゃ、ここにも行かなきゃ」と予定を詰めたくなる気持ちは分かります。でも、長く通ううちに、うちはだんだんそういう気負いから離れていきました。若い頃はあちこち動き回っていた時期もありましたが、最近は同じ景色をのんびり眺めながら、時間をかけて晩酌するのがいちばん楽しい、という過ごし方に落ち着いています。1回の滞在を長めにとって、焦らずダラダラ過ごすスタイルにすっかり慣れてしまいました。この「長めにゆっくり」という感覚は、以前ハワイの観光客の滞在が短くなっているというニュースを読んだときにも書きましたが、混雑を追いかけないことと、どこか地続きな気がしています。
人が集まる名所には名所の良さがあって、静かなご近所には静かなご近所の良さがある。どちらが上ということでもなくて、その日その日で心地よいほうを選べばいいんだろうなと思います。我が家はたまたま、動かないほうが性に合っているというだけの話です。
次のハワイでも、無理に穴場は探さない
こうしてニュースを読みながら、次のハワイ滞在のことを考えてみました。たぶん我が家は、新しい穴場を探しに出かけたりはしないと思います。話題の場所は、行きたい人が予約をとって楽しめばいい。私たちは相変わらず、部屋のキッチンでライオンコーヒーを淹れて、夕方になったらビールを開けて、窓の外の見慣れた景色をぼんやり眺めているのでしょう。
それでも、こういう「静かな場所に人が集まっていく」という話を知っておくのは、無駄ではない気がします。ハワイという場所が、訪れる人と暮らす人のあいだで、少しずつ折り合いをつけながら形を変えていること。その移り変わりを、遠くから穏やかに眺めていられるのも、何度も通ってきたからこそなのかもしれません。次に行くときも、私たちのペースで、混まない時間に、混まない場所で、のんびりやろうと思います。
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