ハワイに住む人たちが観光をどう見ているかを聞く、地元紙によると州観光局の依頼でとられている住民の意識調査。その2026年春の結果を、地元紙スター・アドバタイザーが現地10月26日に伝えました。記事によると、観光は困りごとより良いことのほうが多いと答えた住民は前の年より減り、困りごとのほうが多いと答えた人の間では、困りごとの一番に「文化や自然への敬意のなさ」が挙がったそうです。調べた会社の社長は、これが一番になったことはこれまで無かったと話しています。私たちは1回の滞在で25泊くらいするので、住む人の目にどう映っているかは、やっぱり気になります。この記事では、調査の数字、困りごとの中身、ワイキキの様子についての声、それから私たちが読んで思ったことを順に書いていきます。
ニュースのあらまし
スター・アドバタイザー紙が伝えた内容をまとめると、こうなります。
Hawaii resident support for tourism falls near record low | Honolulu Star-Advertiser
Hawaii residents are growing less convinced that tourism’s benefits outweigh its costs, with support for the industry’s overall value falling near a record low as concerns mount over visitor disrespect for Hawaiian culture, natural resources and residents’ quality of life.
- ハワイ州観光局(HTA)の依頼で、調査会社 Omnitrak が「2026年春の住民意識調査(Spring 2026 Resident Sentiment Survey)」を行った
- 調べたのは2026年3月17日から6月14日で、州全体の住民1,716人が答えた
- 「観光は困りごとより良いことのほうが多い」と答えた人は53%で、前の年の58%から下がった
- 調査が始まって40年近くになるなかで、これまでいちばん低かったのは2021年の49%。2000年代の初めごろは、およそ4人に3人がそう答えていた
- 観光のせいで起きている困りごととして、今年いちばん多く挙がったのは文化や自然への敬意のなさだった(観光は困りごとのほうが多いと答えた人の間で)
元記事は観光局の役割の移り変わりや予算の話まで踏み込んだ長めの記事で、ここではそのうち、ハワイに来る私たちに関わりそうなところを中心に拾っています。
調査の数字を前の年と並べてみると
記事に出てくる数字のうち、前の年と比べられるものを表にまとめました。
| 質問の中身 | 前の年 | 2026年春 |
|---|---|---|
| 観光は困りごとより良いことのほうが多い | 58% | 53% |
| 自分の島では観光がうまく管理されるようになってきている | 52% | 47% |
| 観光の決めごとに自分の声が届いていると感じる | 31% | 26% |
| 観光局の島ごとの取り組み計画を知っている | 45% | 38% |
| 観光以外の産業にも力を入れて、経済の柱を増やすべきだ | 60%(7ポイント差から計算) | 67% |
※数字はいずれもスター・アドバタイザー紙の記事によります。最後の行の前の年の値だけは、記事にある「7ポイント上がった」から私たちが引き算したものです。
どの数字も、観光に対する見方が前の年より少し厳しめに出ている、という並びでした。
困りごとの一番が入れ替わった
いつもは渋滞や混雑が上に来ていた
調査をまとめた Omnitrak の社長、Chris Kam さんは、ふだんは渋滞や人の多さが困りごとの上位に来るのに、今年の一番は文化や自然への敬意のなさで、これが一番になったことはこれまでなかった、といった内容のコメントをしています。
困りごとのほうが多いと答えた人の4人に3人
観光は良いことより困りごとのほうが多いと答えた人に絞ると、75%がハワイの文化や伝統、土地(ハワイの言葉でいう「アイナ」)への敬意のなさを挙げていたそうです(元記事による)。
Kam さんはもう一つ、少し前までは観光の戻りが遅いことを心配する声もあったけれど、2026年はそれを気にする住民が減っていて、別のことが話をややこしくしている、という趣旨の話もしていました。
数字そのものより、「何が困るか」の中身が変わったというところに、私たちは一番引っかかりました。渋滞や混雑は人の数の話ですが、敬意のなさは一人ひとりのふるまいの話なんですよね。
住民の声が届いているか、という数字も下がっていた
島ごとの取り組み計画とは
観光局は島ごとに、人が集まりすぎる場所の手当てなどをまとめた取り組みの計画(Destination Management Action Plans)を作っています。記事によると、この計画を知っている住民は45%から38%に減りました。Kam さんは、計画を知っている人ほど観光を高く評価する傾向がある、と話しています。
計画が動き出したのは今年の夏から
観光局の暫定の代表、Caroline Anderson さんは、計画が承認されたのは調査の時期とちょうど重なるころで、現地で計画を進める担当の人たちが動き始めたのはこの夏からだ、といった内容のコメントをしています。2026〜2028年の計画を作るにあたっては、住民との話し合いの場を、最初の計画のときの8回から39回に増やしたそうです(元記事による)。
調査は3月から6月にかけてとられているので、夏から始まった取り組みの手応えは、まだ数字には出てこない時期だったのかもしれません。次の調査でどう変わるかは、ちょっと見てみたいところです。
ワイキキは「パンデミックを除けばいちばん静か」という声も
記事には、ワイキキ選出の州下院議員で、下院の観光委員会の委員長を務める Adrian Tam さんのコメントも載っていました。ワイキキの観光客の動きは目に見えて落ち着いていて、パンデミックの時期を除けば、こんなに静かなのは見たことがない、といった内容です。
Tam さんは、航空会社にはハワイへ向かう機内で観光客にもっと伝えてほしい、という話もしていました。住民が観光に不満を持ったままだと、観光以外のところにお金を回してほしいという声が強まる、という見方も添えています。
ちょうど少し前に、ハリケーン・ロウエルのあとのカウアイの予約の落ち込みについて、観光局が知事に緊急事態の宣言を求めているというニュースもありました。人に来てほしい話と、来る人のふるまいを見直したい話が、同じ時期に並んでいるのが今のハワイなんだなぁ、と思いながら読みました。
ハワイ州観光局、ロウエル後の予約の落ち込みで知事に「観光の緊急事態」の宣言を求める
長く泊まる私たちが、滞在中に気をつけたいこと
自分たちが気になる音は、住む人にも気になる
夫婦そろって、ワイキキの深夜のサイレンや車の音が、本音を言えばけっこう気になっています。カラカウア通りからなるべく遠い部屋をお願いしたりもしているくらいです。自分たちがそう感じるということは、ワイキキやその周りに住んでいる人にとっても、夜遅くの観光客の話し声や物音は同じように気になるはずなんですよね。晩酌は午後の明るいうちから始めるのがいつもの流れですが、窓を開けて飲んでいるときの声の大きさは、少し気にしたほうがいいのかもね、と記事を読みながら話しました。
人の集まる場所の決まりごとは、そのまま受け止める
ハナウマ湾には、ハワイに通い始めたころに二回ほど行ったことがあります。オプショナルツアーで連れて行ってもらってシュノーケルをして、ウミガメにも会えた、いい思い出です。当時は予約なんて要らなかったのですが、今は事前の予約制になっています。最近のノースショアのバランスロック(ポハクラナイ)にロープと注意の看板が付いたという話もそうですが、人が集まりすぎる場所に決まりごとができるのは、場所を守るためのものなんだと受け止めています。
ノースショアのバランスロック「ポハクラナイ」にロープと注意看板
地元の人と同じ店で、同じように買い物をする
滞在中の買い出しは、近所のロングスやワイキキマーケットが中心です。どちらも観光客だけの店ではなく、地元の人も普通に買い物をしているお店なので、レジの列やカートの返し方のような、ちょっとしたところで迷惑をかけないようにしたいなと思っています。
どれも特別なことではありませんが、「敬意のなさ」が困りごとの一番に挙がったと聞くと、こういう小さなところの積み重ねなのかもしれない、と夫婦で話しました。
「観光以外の柱も」という声が増えたことについて
観光以外の産業にも力を入れるべきだと答えた人は67%で、前の年から7ポイント上がったそうです(元記事による)。挙がった分野は、農業や食べものづくりがいちばん多く、次がテクノロジー、再生可能エネルギーと続いていました。
観光で来ている身で言うのも変ですが、この声はわかる気がします。一つの産業に頼りきりだと、嵐や世界の情勢で人が来なくなったときに、暮らしがそのまま揺れてしまいます。ハワイの農業が元気になって、スーパーにハワイ産の野菜や果物がもっと並ぶようになったら、部屋で晩酌のおつまみを作る私たちにもうれしい話です。
我が家が滞在のたびに払っている宿泊税の一部「グリーンフィー」も、自然や海岸を守ることに回る仕組みになっています。使い道のアイデアを集める窓口の話は、少し前に書きました。
ハワイの観光税「グリーンフィー」の使い道、アイデアを集める窓口が開いた
まとめ
スター・アドバタイザー紙が伝えた2026年春の住民意識調査をまとめると、こうなります。
- 観光は困りごとより良いことのほうが多いと答えた住民は53%で、前の年の58%から下がった(これまでの最低は2021年の49%)
- 観光は困りごとのほうが多いと答えた人の間で、困りごとの一番に「文化や自然への敬意のなさ」が挙がった(調査会社の社長によると、これが一番になったことはこれまで無かった)
- 島ごとの取り組み計画を知っている人、自分の声が届いていると感じる人の割合も下がった
- 観光以外の産業にも力を入れるべきだという声は67%に増えた
数字だけ見ると少しさびしい気もしますが、困りごとの中身がふるまいの話になったということは、来る人が気をつければ変えられる部分もある、ということでもあるんだと思います。私たちも、次の滞在では夜の声の大きさとお店でのふるまいを、いつもより少しだけ気にしてみるつもりです。











