ハワイ州観光局(HTA)が、アメリカ本土の旅行ジャーナリスト Peter Greenberg さんの新しい旅番組「Hidden Hawaiʻi」に、お金を出すことになったそうです。ハワイのニュースサイト Civil Beat が伝えていました。入札を通さない契約で、地元の映画関係者からはどうしてハワイの外の制作会社に決めたのかという声も出ているとのこと。我が家はワイキキとアラモアナを行き来するだけで一日が終わることが多いので、「隠れたハワイ」と聞くと、私たちが行かない場所ばかり映りそうだなぁと思いながら読みました。この記事では、番組の中身とお金の出どころ、地元から出ている疑問を順に並べています。
Taxpayers To Fund Mainland TV Host’s ‘Hidden Hawaiʻi’ Show - Honolulu Civil Beat
A new show hosted by travel journalist Peter Greenberg will get up to $584,000 from Hawaiʻi taxpayers through a no-bid contract. Local filmmakers get far less for their projects.
ニュースのあらまし
Civil Beat の記事によると、Greenberg さんは「The Travel Detective」の名で知られる旅行ジャーナリストで、最近まで CBS News で旅行担当の編集者をしていた人です。その Greenberg さんが案内役を務める4回のシリーズ「Hidden Hawaiʻi」に、州のお金が使われることになりました。元記事に出ていた内容を表にするとこうなります。
| 項目 | 元記事による内容 |
|---|---|
| 番組 | 「Hidden Hawaiʻi」(4回のシリーズ) |
| 案内役 | Peter Greenberg さん(旅行ジャーナリスト) |
| 州から出るお金 | 観光局が最大58万4,000ドル |
| お金の出どころ | 観光局の「Regenerative Tourism Development」の予算 |
| 民間から出るお金 | 観光業界の民間のパートナーが25万ドルを上乗せ(観光局の David Uchiyama さんの説明) |
| 契約のかたち | 入札なし。最終的な契約はまだ交渉中 |
| 契約を決めた部署 | 州の産業経済開発観光局(DBEDT) |
| 撮影の始まり | 1月から(Greenberg さんの話) |
| 見込みの視聴者 | 3年間で1億300万人(観光局の見込み) |
見込みの視聴者は、PBS や Amazon Prime、YouTube、CBS といった場所で見られる前提の数字として紹介されていました。いつから見られるようになるかは、元記事には出ていません。
もうひとつ、州の契約の情報を載せるサイトには、58万4,000ドルとは別の金額が出ているそうです。その差について観光局は質問に答えていない、と元記事は書いていました。どちらが最終的な額になるかは、契約の交渉が終わってみないと分からないところです。
番組はどんなふうに作られるのか
元記事によると、この番組は Greenberg さんから観光局に持ちかけた企画だそうです。撮影に関わるスタッフはみんなハワイに住んで働いている人たちだ、と Greenberg さんは話していて、下調べでは4つの島にまたがって80人の人と一緒に動いているとのこと。どの島なのかは書かれていませんでした。
Greenberg さんは、これまでにも「Hidden Oʻahu」や「Hidden Gems Kauaʻi」といったハワイの番組を作ってきた人です。今回の番組について、州はお金を出す立場であって番組の中身には口を出さない、と Greenberg さんは説明しています。
DBEDT を率いる James Tokioka さんは、旅慣れていてお金も使ってくれる旅行者を呼ぶためにこの番組が必要で、番組を見た人がハワイに行きたくなれば観光の仕事に役立つ、といった内容を話しています。一方で、納税者みんなに得があるわけではないとも話し、州のお金に見合う効果は間接的なものになるかもしれないと認めていたそうです。
地元の映画関係者から出ている疑問
一方で、地元の映画やテレビの関係者からは、決め方そのものに疑問の声が出ていました。元記事に出ていた声を並べるとこうなります。
- 観光局の映画づくりと観光についての助言の会(Film Production Tourism Standing Committee の advisory board)の議長 Mericia Palma Elmore さんは、入札なしで進めるという話は自分たちのところには一度も来なかった、といった内容のコメントを出しています
- ハワイ国際映画祭(HIFF)の理事会の会長 Jordan Kandell さんは、ハワイを拠点にしていない会社が、競争もないまま選ばれた理由を問いかけています
- 映像の産業を研究しているメルボルン大学の Duncan Caillard さんは、十分に力のあるハワイの先住民の作り手なら、すぐに10人から15人は思い浮かぶ、といった内容を話していて、文化の面でふさわしくない、とも批判しています
どの意見が正しいかは、私たちには判断がつきません。ただ、「ハワイの隠れた場所」を誰の目で映すのか、というところに地元の人たちが強い関心を持っているのは伝わってきました。観光客として来ている私たちにとっても、知っておいて損のない話だと思います。
地元向けの映画の支援と比べると
入札なしという決め方と並んで取り上げられていたのが、地元の作り手向けのお金との差です。元記事に出ていた数字を並べると、こうなります。
| 比べるもの | 元記事による数字 |
|---|---|
| 今回の番組に観光局から出るお金 | 最大58万4,000ドル |
| 地元の作り手向けの州の支援(大きな作品の場合) | 1件あたり最大5万ドル |
| 地元の作り手向けに募集した支援の総額 | 40万ドル |
| その募集に集まった応募 | 113件 |
| 選ばれた作品 | 23件(およそ5件に1件) |
元記事によると、ハワイの映画の仕事はコロナ禍のあとでおよそ8割縮んだそうです。仕事が減っているなかで、地元の作り手が限られたお金を分け合っていて、そこに島の外の番組へまとまったお金が入る。並べてみると、地元の人たちが引っかかるのも分かる気がします。
円にするとどれくらいか
1ドル150円で計算してみると、だいたいこんな感じです。
- 観光局から出るお金(最大58万4,000ドル): 約8,760万円
- 民間のパートナーの上乗せ(25万ドル): 約3,750万円
- 地元の作り手向けの支援の上限(5万ドル): 約750万円
4回のシリーズに、観光局と民間を合わせて1億円を超えるお金が動く計算です。テレビ番組を作るのにどれくらいかかるものなのか、私たちには相場が分からないので、高い安いは言えません。ただ、地元向けの支援の上限と並べると、桁がひとつ違うのはよく分かります。
私たちはこう読みました
我が家の滞在は、ワイキキの周りで買い出しをして、ピンクトロリーでアラモアナに行って、部屋に戻って明るいうちから飲み始める、の繰り返しです。レンタカーは借りないので、「隠れたハワイ」と呼ばれるような場所にはまず足が向きません。昔は観光も一通りやっていましたが、最近はのんびり部屋で過ごすのがいいので、名所めぐりは選ばないようになりました。
それでも、行かない場所を映像で眺めるのは嫌いではありません。もし番組が配信で見られるようになったら、ソファでビールを開けながら、「こんな場所があるんだねぇ」と眺めてみたいなぁと思っています。
一方で、観光局のお金は、ハワイにもっと人を呼ぶために使われるものです。私たちのような旅行者は、まさにその呼ばれる相手です。だからこそ、誰がどんなふうにハワイを紹介するのかに地元の人たちが声を上げるのは、ごく自然なことなのだと思います。紹介された「隠れた場所」に人が集まりすぎないといいな、という気持ちも少しあります。
まとめ
- ハワイ州観光局が、本土の旅行ジャーナリスト Peter Greenberg さんの旅番組「Hidden Hawaiʻi」(4回のシリーズ)に、最大58万4,000ドルを出すと Civil Beat が伝えました
- 入札なしの契約で、最終的な契約はまだ交渉中。撮影は1月から始まる予定だそうです
- 地元の映画関係者からは、決め方や、地元の作り手向けの支援との差について疑問の声が出ています
- 番組がいつから見られるかは、元記事には出ていませんでした
契約の交渉がどうまとまるのか、番組の中身がどうなるのかは、まだこれからです。続きのニュースが出たら、またここで紹介しようと思います。











