花火におびえたモンクアザラシの赤ちゃん ― ハワイの独立記念日の夜、カラエロアの浜辺で起きたこと
独立記念日の夜、オアフ島のカラエロアという浜辺で、生まれて3週間ほどのモンクアザラシの赤ちゃんが、近くで打ち上げられた花火の音におびえて夜通し鳴いていた、というニュースが目に留まりました。私たちは毎年、7月4日の花火を人混みから離れた部屋の窓越しに眺めるのが定番になっているので、同じ夜に浜辺の片隅でこんなことが起きていたのかと、読んでいて少し胸がざわつきました。きれいだなぁと見上げていた光の裏側に、こういう話もあったんですね。
ニュースのあらまし
2026年7月4日の夜、オアフ島西側のカラエロア地区にあるニミッツビーチで、母アザラシのロッキー(個体番号RH58)とその子どものすぐ近くで、違法な花火が打ち上げられました。この子は6月13日にこの浜で生まれたばかりで、まだ生後3週間ほど。ボランティア団体によると、花火が鳴るたびに子どもが夜通し鳴いていたとのことです。
Fireworks spooked monk seal pup at Kalaeloa, volunteers say | Honolulu Star-Advertiser
It was a rough weekend for Hawaiian monk seal Rocky and her weeks-old pup at Nimitz Beach.
保護にあたっているボランティアの方々はストレスを心配していて、通報を受けたホノルル警察も7月5日の夜にパトロールに動いたそうです。海の生き物を管理するNOAA(アメリカ海洋大気庁)は、母子から150フィート(約45メートル)以上離れて見守るよう呼びかけています。幸い、母子ともに命に別状はないと伝えられていて、そこはまずほっとしました。
生後3週間の赤ちゃんと、母アザラシのロッキー
モンクアザラシの赤ちゃんは、生まれてから5〜7週間ほど、お母さんのそばで母乳を飲んで育ちます。この時期はいちばんデリケートで、人や音の刺激に敏感なタイミングでもあります。生後3週間といえば、まだ授乳のまっただ中。そんな時に、すぐ近くで大きな破裂音が一晩じゅう続いたわけですから、小さな体にはさぞ怖かっただろうなぁと思います。
ちなみに、地元当局(DLNR=ハワイ州土地天然資源局)は「花火そのものが直ちに違法な嫌がらせにあたるわけではない」という見解も示しているようです。線引きが難しい問題ではあるのですが、法律の話は別として、すぐそばで小さな命が震えていたという事実の方が、我が家には強く残りました。
野生におよそ1,600頭 ― ハワイでいちばん会える絶滅危惧種
そもそもハワイアンモンクシールは、世界でもっとも絶滅の心配が大きい動物のひとつです。野生に残っているのはおよそ1,600頭だけと言われていて、州や国の法律で厳重に守られています。数字にすると、その一頭一頭がどれだけ貴重かがよく分かります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 種類 | ハワイアンモンクシール(ハワイモンクアザラシ) |
| 野生の個体数 | 約1,600頭 |
| 保護のステータス | 絶滅危惧種(州・連邦法で保護) |
| 見守りの距離 | 母子から150フィート(約45m)以上 |
面白いのは、これだけ数が少ない絶滅危惧種なのに、ハワイではときどきワイキキのビーチにひょっこり上がってきて、砂の上でお昼寝している姿に出会えることです。我が家も、ワイキキ徒歩圏のカイマナビーチで赤ちゃんが生まれたときのニュースを何度か眺めてきました。そのあたりの話はカイマナビーチでモンクアザラシの赤ちゃんが誕生したときの記事や、母アザラシのカイヴィが出産したときの記事にも書いています。出不精でご近所ばかり歩いている私たちでも、こうして季節のニュースとして楽しめるのがありがたいところです。
花火は見たいけれど、近づかないのが我が家の流儀
今回の話を読んでいて、なんだか自分たちのハワイでの過ごし方と、遠いところでつながっているような気がしました。うちは毎年、独立記念日の花火を、わざわざ混み合うビーチまで出ていかずに、部屋の窓から遠目に眺めています。今年の花火のこともワイキキ沖の独立記念日の花火ショーの記事に書きましたが、要するに「きれいなものは、離れたところからのんびり見るのがいちばん」という夫婦なんですね。
その「離れて眺める」というやり方が、たまたま人にも、浜辺の生き物にもやさしい距離だったのかもしれない、と今回思いました。花火が悪者だと言いたいわけではありません。ただ、打ち上げる場所と、そっとしておいてあげたい場所は、少し分けて考えられるといいなぁと感じます。
次にビーチでロープを見かけたら
ハワイのビーチでは、モンクアザラシが上がってくると、ボランティアの方々が周りをロープで囲って「近づかないでね」と見守ってくれています。以前は「45メートルも離れなきゃいけないの」と少し身構えたこともありましたが(その話は出産シーズンと45m令の記事に書きました)、今回のニュースを読んだあとだと、その距離の意味がすっと腑に落ちます。
近づかないこと、静かにしておくこと。それが、野生に1,600頭しかいない生き物へのいちばんの優しさなんですね。来年の夏も、私たちは相変わらず部屋から花火を眺めていると思いますが、光の下の浜辺で息をひそめている小さな命のことも、少しだけ心の隅に置いておこうと思います。
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