アラモアナセンターの駐車場に、38階建てのホテルを建てる計画が、ホノルル市議会で審議されてきました。名前は「1588 Ala Moana」。ホテル棟が294室で、隣に17階建ての住宅棟(分譲136戸)、低層部に手頃な価格の賃貸69戸と、住宅は合わせて205戸という、なかなか大きな話です。場所はメイシーズの前、海のほうにある駐車場のあたり。市議会は現地9月9日(水)の本会議でいったん審議を90日延ばし、そのあと現地10月7日(水)の本会議で、計画の決議を全会一致で承認しました。とはいえ、これで工事を始めていいことになったわけではないそうです。ピンクトロリーでアラモアナまで行くのが我が家の数少ないお出かけなので、あの駐車場が工事になるのかどうかは、他人事として読めませんでした。
ニュースのあらまし
Ala Moana project gets 90-day extension for Council review | Honolulu Star-Advertiser
The Honolulu City Council on Wednesday voted unanimously and without discussion to approve a 90-day extension for further consideration of the proposed 1588 Ala Moana development.
Honolulu Star-Advertiser によると、ホノルル市議会は現地9月9日(水)の本会議で、この計画の審議を90日延ばすことを全会一致で、議論なしに可決しました。延長を求めていたのは開発を手がける BSC Acquisitions II LLC(Kobayashi Group と BlackSand Capital の関連会社)で、8月11日付で市議会に宛てた手紙のなかで、市議会が計画を審議するための時間として90日の延長を求めていたそうです。市議会で街づくりの計画を扱う委員会(Zoning and Planning Committee)が8月27日にこの延長を勧告していて、それが本会議でそのまま通った形になります。
計画の中身を並べてみると、こんな形です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ホテル棟 | 38階建て・高さ400フィート(約120メートル)・294室 |
| 住宅棟 | 17階建て・高さ200フィート(約61メートル)・分譲136戸(低層部の手頃な価格の賃貸69戸と合わせて住宅205戸) |
| 住宅の内訳 | 市場価格の136戸 + 手頃な価格の賃貸69戸 |
| 敷地 | 約187,174平方フィート(センター全体の土地は約271万平方フィート) |
| 地域への還元 | 周辺の道路整備に500万ドル、街路樹を増やすのに150万ドル、手頃な価格の賃貸38戸 |
| 9月9日に決まったこと | 決議171号をめぐる審議の期間を90日延ばすこと(全会一致) |
| 10月7日に決まったこと | 決議171号(計画の基本の形)の承認(全会一致)。工事の許可ではない |
敷地の広さをメートルに直すと、およそ1万7千平方メートル。市の文書ではアラモアナセンターの土地が約271万平方フィートなので、割り算をするとセンターの7%ほどにあたる計算になります。モール全体が建て替わるという話ではなく、端のほうの一区画に2本のタワーが立つ、というくらいの話ですね。
建つのはメイシーズの前、今ある駐車場のところ
Developer looks to build luxury high-rise at Ala Moana Center | Honolulu Star-Advertiser
A local developer is proposing to build a luxury hotel at Ala Moana Center with an attached condominium high-rise and separate affordable rental complex.
この計画が市議会の委員会で説明され、報道されたのは2025年11月でした(地元の住民会議には10月に説明済み)。当時の報道では、場所はアラモアナセンターの4.3エーカーほどの区画の東の端で、メイシーズの前にある海のほうの駐車場、アトキンソン通りに近いあたりとされています。ハワイでは海の方向を「マカイ」と言いますが、まさにそのマカイのほうの駐車場です。1エーカーは約43,560平方フィートなので、4.3エーカーは約18万7千平方フィート。今回報じられている敷地の広さともきれいに重なります。
今の申請では、今ある駐車場の建物を壊して建てる計画になっています。とはいえ駐車場がそのまま消えるわけではなく、市の審査報告(2026年7月)では、今の申請の駐車場は合計1,229台(モール用598台・住宅用439台・ホテル用192台)。今ある駐車場の1,152台のうち、モール用として戻るのは598台という形です。
アラモアナセンターは店の入れ替わりも多い場所で、8月にも新しく開いた店とこれから開く店をまとめました。ただ今回は店ではなく建物そのものの話なので、変わり方の大きさが違います。
9月9日に決まったのは「建てていいか」ではなく「あと90日考えること」
読んでいていちばん引っかかったのがここでした。9日に通ったのは審議の期間を90日延ばすことであって、建物を建てていいという結論ではありません。市の許可を出すかどうかの判断を、市議会がもう少し時間をかけて続けるための手続き、ということになります。
Ala Moana project developer seeks more time | Honolulu Star-Advertiser
The developer of 1588 Ala Moana, a mixed-use development calling for a 400-foot luxury hotel tower and a separate residential tower with market-rate and affordable units at Ala Moana Center, is seeking a 90-day extension to allow for further Honolulu City Council consideration.
決議171号そのものは、計画の中身にかかわる議案です。市の審査報告によると、通常は100フィート(約30メートル)までの高さ制限を400フィートまで上げることや、手頃な価格の住戸を増やす・広くするために床面積を上乗せすることを認める内容です。その大きな判断に、あと3か月ほどの時間が足された形ですね。
9月の時点では3か月ほど先の話に見えましたが、結論は4週間後の10月7日に出ました。とはいえ工事の許可はまだなので、次にアラモアナへ行っても風景はまだ今までどおり、というのがいちばんありそうなところですね。
計画には地域への還元も付いています。アラモアナ周辺の道路整備に500万ドル、街路樹を増やすのに150万ドル。手頃な価格の賃貸69戸のうち38戸は地域への還元という扱いで、収入がその地域の中央値の80%までの世帯向けなら30年、120%までなら60年、その価格を保つ決まりが付くとも報じられていて、そのあたりも審議で見られている部分なのだろうと思います。
10月7日、市議会が計画を承認
Honolulu City Council allows Ala Moana Center tower project to proceed | Honolulu Star-Advertiser
The Honolulu City Council on Wednesday unanimously approved a conceptual plan for a proposed 400-foot luxury hotel tower, a 200-foot residential tower and 69 affordable rental units at Ala Moana Center.
その審議に、結論が出ました。Honolulu Star-Advertiser によると、ホノルル市議会は現地10月7日(水)の本会議で、決議171号を全会一致で承認しました。認められたのは計画の基本の形で、ホテル棟を400フィート、住宅棟を200フィートまで高くすることや、アトキンソン通り側で、高さに応じて建物を道路から下げる決まりに、ホテル棟が最大33フィート食い込むことなどです。
ただ、元記事にもはっきり書かれていて、これは工事の許可ではありません。開発する会社は、このあと工事の進め方の計画と交通の計画、交通への影響を見直した報告を市の開発の許可を扱う部署(DPP)に出して認めてもらい、特別な地区向けの許可(Major Special District Permit)と建築などの許可を別に取る必要があります。特別な地区向けの許可が出てから、建築の許可を取るまでの期限は60か月。高さや建物の規模(床面積)を増やす場合は、申請からやり直して市議会の承認をもう一度取る決まりだそうです。
本会議では、建設関係の組合の人たちを中心に賛成の発言が多かった一方で、ホテルで働く人たちの労働組合(UNITE HERE Local 5)は、決まりより多く造る手頃な価格の住戸が38戸では足りないとして反対しました。海面の上昇を心配する住民の声も出ていたそうです。
通っても、そこから先がまだある
もうひとつ、読んでいて「なるほどねぇ」と思ったのがこの部分です。9月11日の元記事には、市の開発の許可を扱う部署(DPP)の説明として、市議会がこの許可を認めたとしても、それで工事を始めていいことにはならないと書かれていました。開発する会社はそのあとで細かい図面を出して特別な地区向けの許可を取り、さらに建築の許可を別に取る必要があるそうです。
つまり、市議会が計画を承認したからといって、その翌週から重機が入るという話ではないわけですね。ニュースの見出しだけを見ると明日にでも工事が始まりそうな気がしてしまうので、ここは覚えておくと落ち着いて眺められそうです。
賛成の声と、反対の声
市議会には両方の声が届いているようです。ホテルで働く人たちの労働組合(UNITE HERE Local 5)は、8月27日の委員会では審議の時間を延ばすことに賛成する立場で発言しました(10月7日の本会議では、計画そのものに反対の立場で発言しています)。電気工事の組合の組合員からは、この計画はハワイで働き続けるための仕事につながる、という書面の意見が出ています。一方で、建物が高すぎてマジックアイランドからの眺めが遮られる、という反対の意見も出ています。
どちらの言い分にも暮らしがかかっているので、遠くから読んでいる私たちがどちらが正しいと決められる話ではありません。ただ、賛成と反対の両方がこれだけはっきり出ているところを見ると、審議に90日という時間が足されたのも分かる気がするなぁ、と思いながら読んでいました。
アラモアナ通いの私たちが気にしていること
ハワイ滞在中に足を運ぶのは、ワイキキの歩いて行ける範囲と、ピンクトロリーで行くアラモアナセンターくらいです。アラモアナはフードコートでその日の晩酌のおつまみを買って帰る場所で、同じセンターの中にはフードランド・ファームズもありますが、重たい飲み物は歩いて帰れる近所で買うことにしているので、食料の買い出しはワイキキマーケットで済ませています。
工事が始まれば、しばらくはあのあたりの景色が変わります。同じ場所に何年も通っていると、行くたびに前と何が変わったかを見つけるのが楽しみになってくるもので、駐車場が囲われて重機が入るところまで含めて、たぶん二人で「あ、始まったね」と言い合うことになりそうです。
レンタカーを借りない私たちの場合は、駐車場が減っても直接は困りません。ただ、車で来る人にとっては停める場所が変わるのはそれなりに大きい話なので、工事の時期が見えてきたら、出かける前に確かめておくほうが安心だと思います。
ホテルがモールのすぐそばに建つ、というのも読んでいて面白い部分でした。買い物して、食べて、そのまま数分で部屋に戻れるというのは、出歩くのがあまり得意でない人間にはかなり具合のいい形です。私たちが泊まる機会があるかどうかは分かりませんが、そういう過ごし方ができる場所がひとつ増えるなら、それは素直にいいなと思います。
まとめ
今わかっていることを、最後にもう一度並べておきます。
- 計画は「1588 Ala Moana」。ホテル棟が38階建て294室、住宅は17階建ての住宅棟(分譲136戸)と低層部の賃貸69戸で計205戸
- 場所はアラモアナセンターのメイシーズ前、海のほうの駐車場のあたり。今ある駐車場の建物を壊して建てる案
- 現地9月9日(水)の市議会本会議で、審議を90日延ばすことが全会一致で可決された
- 現地10月7日(水)の市議会本会議で、決議171号(計画の基本の形)が全会一致で承認された
- 市議会が承認しても、それだけで工事は始められない。特別な地区向けの許可と建築の許可がこの先に控えている
- 地域への還元として、周辺の道路整備に500万ドル、街路樹に150万ドル、手頃な価格の賃貸38戸
数字は2026年10月時点で報じられているものと、市の審査報告(2026年7月)によるものです。この先の許可の手続きのなかで、時期や細かい中身が変わる可能性はあります。
というわけで、当分はいつもどおりトロリーで行って、フードコートでおつまみを買って帰る日が続きそうです。あの駐車場に囲いができる日が来たら、それはそれで「変わったね」と言いながら眺めることになるのだろうと思います。











