オアフの地下にあるレッドヒルの燃料施設が2028年に閉じる予定で、いまは後片づけの段階に入っている、というニュースがありました。海軍のタスクフォースが8月27日に州議会の特別委員会で説明したもので、タンク20基のうち12基はガスを抜き終わり、6基は完全に空。10マイル(16kmほど)のパイプラインも99%は清掃を済ませたそうです。その一方で、環境の中にどれだけ燃料が残っているのかは、まだ分かっていないとのこと。私たちはワイキキの部屋で水道水を濾して飲んでいるので、ハワイの水まわりの話にはつい目が止まります。これがどこの水の話で、ワイキキの蛇口とはどうつながるのか、確かめられた範囲で並べてみます。
ニュースのあらまし
Honolulu Star-Advertiserが8月27日に伝えたところによると、海軍のタスクフォース(Navy Closure Task Force-Red Hill)が同じ日、州議会の下院に置かれているレッドヒルの特別委員会で進み具合を説明しました。施設そのものは2028年に閉鎖の予定で、海軍の関心は燃料を抜く作業から環境の浄化のほうへ移りつつある、という内容です。
ただ、その浄化がどのくらいの規模になるのかは、まだ決まっていません。環境と修復を担当するBen Dunn氏は、環境の中にどれだけ燃料が残っているのかは分かっていないと説明したうえで、分かっている影響範囲の外へ燃料が動いた形跡は見つかっていない、とも述べたと伝えられています。燃料がどこにどれだけあるのかを突き止めるために、現地の調査を依頼したところだそうです。
Extent of Red Hill fuel cleanup still undetermined | Honolulu Star-Advertiser
With the Red Hill Bulk Fuel Facility on track to close in 2028, the Navy is shifting its focus toward environmental cleanup and remediation — though it still does not know exactly how much fuel it will have to clean up.
タンクとパイプラインは、どこまで片づいたのか
数字の出ているところだけを抜き出すと、こんな並びになります。
| 項目 | 8月27日時点の説明(海軍による) |
|---|---|
| タンク | 20基のうち12基がガス抜き済み |
| 空になったタンク | 6基が完全に空 |
| パイプライン | 10マイル(16kmほど)のうち99%が清掃済み |
| 施設の閉鎖 | 2028年の予定 |
| 環境に残る燃料の量 | まだ分かっていない(現地調査を依頼したところ) |
| 調査と研究の結果 | 2027年に報告する予定 |
タンクの本数もパイプラインの割合も、ここまで来ましたとはっきり言える数字が並んでいます。それだけに、いちばん知りたい「どれだけ残っているのか」の行だけが空欄のままなのが目を引きます。監視と浄化そのものは2029年より先も続く見通し、とも伝えられていました。
2021年に何が起きて、いま何が止まっているのか
この施設の名前が広く知られるようになったのは、2021年の燃料漏れでした。同じくHonolulu Star-Advertiserが4月に伝えていたところでは、2021年11月にレッドヒルで燃料が漏れ、オアフのおよそ93,000人の飲み水が汚れました。翌2022年3月には、国防総省がこの施設のガス抜きと恒久的な閉鎖を命じています。
その2021年以来ずっと止まったままなのが、海軍のハラワの井戸(Halawa Shaft)です。8月の記事によると、海軍は「この井戸が漏れの影響を受けたという証拠はない」として、州保健局に再開の承認を申請しています。もう一つ、レッドヒルの井戸(Red Hill Shaft)についても飲み水として再び使いたい考えで、こちらは先に暫定の処理設備を入れる計画だとのことでした。恒久的な浄水施設のほうは、完成まで数年かかるそうです。
‘Degassing’ of Red Hill tanks nearing completion, Navy says | Honolulu Star-Advertiser
Decommissioning the Red Hill Bulk Storage Facility will continue next week, with the Navy announcing Friday that it will be “degassing” Tank 11, which it called “another significant milestone.”
もう一度、飲み水に使えるようにできるか
浄水設備の中身については、6月の記事のほうが詳しく書いていました。海軍が計画しているのは、ジョイントベース真珠湾ヒッカムにあるレッドヒル燃料施設の敷地内に、粒状活性炭(細かい炭のつぶに汚れを吸い取らせる仕組み)を使った恒久的な浄水設備を建てるというもの。EPA(アメリカの環境保護庁)は活性炭を、飲み水から油などの有機物を取り除くのに使える最良の技術としている、という説明も添えられていました。暫定の設備のほうは2027年の完成予定です。
同じ記事には、州保健局が一つの水源だけに頼るのは危ういと注意していて、そのために海軍はハラワの井戸の復旧も並行して進めている、とありました。一本の井戸だけに背負わせない、という話ですね。
Navy plans Red Hill water treatment facility | Honolulu Star-Advertiser
Five years since the Red Hill fuel leaks contaminated drinking water that serves 93,000 Oahu residents, sickening many, the Navy has completed its environmental assessment for a Red Hill Water Treatment Facility.
いっぽうで、井戸を再び開けることへの不安の声も報じられています。6月下旬の記事では、EPAにいた水文地質学者(地下水の専門家)や、真珠湾のフォード島に住む陸軍の関係者が、検査のやり方や説明の仕方に疑問を投げかけていました。州保健局はその時点で正式な再開の要請は受け取っていないとしていて、要請が来たら科学と公衆衛生にもとづいて判断する、再び使う前には十分な試験と監視、そして条件を全部満たすことを求める、といった内容の説明を出しています。
毎日その水で暮らしている人たちの話ですから、慎重になるのはよく分かります。6月には要請そのものがまだ届いていなかったのが、8月には申請の話まで進んでいる、という順番だけ覚えておくと、次の報道が読みやすくなりそうです。
Distrust, uncertainty as Navy moves to reopen Red Hill well | Honolulu Star-Advertiser
As the Navy continues to move forward with plans to reopen its Red Hill well and reconnect it to its Oahu water system five years after it was contaminated with jet fuel, the service faces ongoing skepticism over its insistence the water will be safe to drink.
ワイキキの蛇口の水と、部屋の浄水ポット
ここまで出てきた井戸は、どれも海軍のもので、基地の水道に水を送る水源です。ワイキキのホテルやコンドミニアムの蛇口から出てくる水は、ホノルル市の水道局(Board of Water Supply)が届けているほうになります。水道局は自分たちのサイトで、州や連邦の機関と一緒に水を採り続けていて、いちばん高い水質基準を満たしている、といった説明を出しています。
我が家はというと、昔はスーパーでペットボトルの水をまとめ買いしていました。ただ、あれを部屋まで運ぶのがとにかく重い。いまは日本から浄水ポットを持って行って、部屋の水道水を濾して飲むやり方に落ち着いています。濾しているのは味の好みの話で、検査の結果を自分たちで読み取れるわけではありません。気になる方は、スーパーやABCストアで水を買ってしまうのがいちばん早いと思います。
水まわりでいうと、オアフでは8月にも水道局から節水の呼びかけが出ていました。あれは嵐のあとの停電で井戸のポンプが動かせなくなったためで、今回のレッドヒルの話とは別の理由です。同じ水道局の名前が出てくるので並べて読んでしまいそうになりますが、出ている理由はそれぞれ違いました。
これからの日程と、私たちの受け止め
先の予定として出ているのは、このあたりです。
| 時期 | 予定されていること |
|---|---|
| 2026年9月17日 午後5時〜7時30分 | エワビーチのAmVets West Oahu Veterans Centerで、海軍のオープンハウスと住民向けの説明会 |
| 2027年 | 現地調査と浄化の研究の結果を報告する予定 / 暫定の浄水設備の完成予定 |
| 2028年 | レッドヒル燃料施設の閉鎖予定 |
| 2029年以降 | 環境の監視と浄化は続く見通し |
閉鎖までの道のりが2028年、調べた結果が出てくるのが2027年ということなので、はっきりするまでにはまだ間がありますね。9月の説明会でどんなやりとりがあるのかが、いちばん近い手がかりになりそうです。
私たちはワイキキの部屋で、濾した水道水を飲みながら次の報告を待つくらいのことしかできません。それでも、旅行者としてしばらく滞在していると、その土地の水を毎日いただいている感覚はちゃんとあります。毎日その水で暮らしている人たちが納得できる形で片づいていくといいなと思いながら、9月の説明会のあとに何が出てくるのかを見ておくつもりです。











