ワイキキ中心部のホームレスが約91%減少 ― ご近所で完結する私たちが感じる、街の歩きやすさ
ワイキキの中心部で、路上で暮らす人の数がこの数年で大きく減った、というニュースが出ていました。目抜き通りのカラカウア通りとクヒオ通り沿い、それにクヒオ・ビーチのあたりでは、2022年と比べておよそ91%の減少だそうです。私たちのハワイは、宿の周りの歩いて行ける範囲で飲んで食べて過ごすのが基本で、まさにこのあたりが毎日の生活圏です。買い出しに歩く道、夕方に散歩する道が過ごしやすくなった、という話なので、これは少し丁寧に読んでみたくなりました。
ニュースのあらまし
Homelessness drops 91% in Waikiki core | Honolulu Star-Advertiser
On a recent Wednesday morning at the hula mound at Kuhio Beach, Susan Willick moved through clusters of sunbathers and tourists to a man sitting alone on a grassy rise in the middle of Waikiki’s busiest stretch of sand.
ニュースの中身を整理すると、こんなところです。
- 調査をしているのは、ワイキキ・ビジネス・インプルーブメント・ディストリクト(WBID、ワイキキの清掃や美化、安全対策に取り組む地域団体)とハワイ大学
- 路上で暮らす人の数を2年ごとに数えていて、ワイキキ周辺の全体では2022年9月の251人から、2026年4月の調査で201人に減った
- 中心部の目抜き通り(カラカウア通り・クヒオ通り)とクヒオ・ビーチの一帯では、約91%の減少
- 中心部にあたる区画では、路上で暮らす人は10人ほどまで減っている
- 背景にあるのは、2022年9月に始まった「Safe & Sound Waikiki(セーフ・アンド・サウンド・ワイキキ)」という、市や警察、医療や福祉の団体が連携した取り組み
数字の落ち着き方を見ると、ワイキキの一番にぎやかな通り沿いが、この数年でずいぶん変わったのだなと分かります。一方で、場所によってはまだ増えているところもあるようで、街全体がまるごと落ち着いた、という単純な話でもなさそうです。
91%減ったのは、私たちが毎日歩く一帯
今回91%という数字が出たカラカウア通りとクヒオ通り、それにクヒオ・ビーチのあたりは、我が家にとっては毎日のように歩いている一帯です。
うちのハワイは、とにかく宿の周りで完結します。朝はキッチンでコーヒーを淹れてフルーツで軽く済ませ、昼は食べず、午後の早い時間から窓を開けた部屋で晩酌を始める。その晩酌の前に、その日のおつまみを買いに近所まで歩きます。ビールを買い足すならロングス、食材ならワイキキ・マーケット、面倒な日はABCストア。どれもカラカウア通りやクヒオ通りの周りにあるお店で、行き帰りの道がそのまま散歩コースになっています。
あまり出歩かない私たちにとっては、この狭い生活圏の居心地が、滞在の心地よさをほぼ決めてしまいます。遠出をしないぶん、毎日歩く数百メートルの道が過ごしやすいかどうかが、思いのほか大きいのです。その一帯が、数字の上でもはっきり落ち着いてきたというのは、うれしい知らせでした。
数字の背景にあった、地道なやり方
記事を読んでいて感心したのは、数字が減った背景のやり方です。
この変化のもとになっているのは、2022年9月に始まった「Safe & Sound Waikiki」という取り組みです。市や警察、それに医療や福祉の団体がいっしょになって動く、というもので、中身を読むとなかなか地道です。専門のスタッフが路上で暮らす人に声をかけて支援につなぐ活動、月に2回の街頭での医療、住む場所の紹介や、故郷に戻りたい人への旅費の手伝い。そういったことを一つずつ積み重ねているそうです。
ある医師の「住まいは医療そのものだ」という言葉や、警察の担当者の「自分たちは解決策の一部にすぎない」という言葉も紹介されていました。ただ通りから人を移して見た目を整える、という話ではなく、その人が次に落ち着ける場所まで一緒に探す。手間のかかるやり方を続けてきた結果が、あの91%という数字なのだろうと思います。
我が家はあまり出歩かず、街の課題に自分から関わる方でもありません。それでも、こういう積み重ねの上にいまの歩きやすいワイキキがあるのだと知ると、いつもの散歩道の見え方が少し変わります。
ビーチ際にはまだ課題も残っています
もっとも、ワイキキのすべてが落ち着いたわけではないようです。
記事によると、フォート・デルッシー・ビーチやアラモアナ・ビーチ公園のあたりでは、路上で暮らす人がむしろ増えている傾向があるとのことでした。このあたりは州が管理する土地で、市の権限が届きにくいため、いまは州と市が新しい取り決めを話し合っている段階だそうです。
私たちはハワイにいてもビーチにはあまり出ません。海で長く過ごすより、部屋やお店で飲んでいる時間のほうが好きなので、フォート・デルッシーやアラモアナの浜辺は、我が家にとってはそれほど踏み込まない場所です。ですから、この増減がうちの毎日の散歩に直接ひびくわけではありません。
それでも、街の一部で減ったぶんが別の場所に移っているのだとしたら、ワイキキ全体としてはまだ途中なのだろうなと思います。中心部の通りが歩きやすくなったのは喜ばしい一方で、数字が動いただけで終わらず、海沿いのほうも少しずつ落ち着いていくといいなと、ニュースを読みながら思いました。
次の滞在で歩く、ワイキキの夜
今回のニュースを読んで思ったのは、私たちが何げなく歩いているあの数百メートルの道は、誰かがずっと手をかけて整えてくれているものなのだな、ということです。
夕方にビールを買いに行く道。晩酌のおつまみを探しに歩く道。日が落ちてから少し腹ごなしに出る道。あまり出歩かない我が家のハワイは、そのほとんどがカラカウア通りとクヒオ通りの周りで完結しています。その一帯が、この数年で目に見えて歩きやすくなった。ふだんはあまり意識しないことですが、数字で示されると、なるほどなぁと思います。
次にワイキキに滞在するときも、うちはきっといつもどおり、宿の周りをのんびり歩いて買い出しに行きます。その何でもない散歩の道が、こうした地道な積み重ねの上にあるのだと頭の片隅に置いておくと、いつもの夕方の一杯が、もう少しありがたく感じられそうです。