スピリット航空をトランプ政権が救済検討。LCCには乗らない私たちから見える米航空業界の分断
今日もまた航空業界のニュースですが、今度はいきなりスケールが「政府の救済」まで飛びました。トランプ政権が、経営難に陥っている米LCCのスピリット航空(Spirit Airlines)に対して最大5億ドル(約750億円)の融資パッケージを検討している、という話です。
Trump administration weighs Spirit Airlines rescue plan | Honolulu Star-Advertiser
WASHINGTON >> The Trump administration is in advanced talks about a potential rescue of low-cost carrier Spirit Airlines, which is struggling to exit bankruptcy, people familiar with the matter told Reuters.
事実関係を整理するとこんな感じです。
- トランプ政権はスピリット航空への最大5億ドル規模の融資を軸とした救済案を協議中。
- 政府がワラント(新株引受権)を取得し、将来的には相当な株式を取得できる建て付けにする案。
- スピリット航空は破産からの脱出を模索中で、機材を約3分の1に縮小(約76〜80機に削減)する再建計画を進めている。
- 2026年の想定ジェット燃料価格が1ガロン2.24ドルだったところ、4月中旬の実績は4.24ドル(約2倍)。この燃料高が再建計画を破綻させている。
- ジェットブルー、フロンティアなど他のLCCからも同様の救済要求が来る可能性があり、政権内でも議論になっている。
要するに、ジェット燃料が2倍になった衝撃で、体力のないLCCから先に倒れ始めた、ということです。
大手は「運賃上げます」、LCCは「政府助けて」
数日前にユナイテッド航空のCEOが「運賃を15〜20%上げないと厳しい」と発言した話を書いたばかりですが、構図としてキレイに対になっています。
- 体力と路線網のある大手(ユナイテッド、デルタ、アメリカン) → 運賃値上げで自前で吸収
- 薄利多売のLCC(スピリット、ジェットブルー、フロンティア) → 値上げすると客が逃げるので、政府に助けを求める
ジェット燃料が2倍になると、「安さだけ」で回していたビジネスモデルはまず成立しなくなるんですよね。運賃を2割上げればある程度吸収できる大手と違って、スピリットが「運賃を2割上げます」と言った瞬間にお客さんはサウスウエストやフロンティアや、そもそも他の移動手段に流れていく。値上げという逃げ道がないから政府の融資にすがるしかない、というのは構造的にはかなり不健全な話です。
LCCに乗らない私たちから見える温度感
ただ、正直に書くと、この話は私たちにとってかなり遠い国の出来事に感じています。
というのも、私たちはそもそもスピリット航空に乗ったことがありません。というより、LCCを前提にハワイや国内移動を組み立てていないので、スピリットが残ろうが消えようが、自分たちの次の旅程が1ミリも変わらないんですよね。
出不精夫婦の旅のスタイルを振り返ってもそうで、
- ハワイ往復はANAのフライングホヌ(プレミアムエコノミー)一択
- 国内線のプレミアムポイント稼ぎはANAのファーストクラスや上位クラスで沖縄線を中心に
- アジア路線は有償でANA(プレミアムポイントが1.5倍のため)
どこにもLCCが登場する余地がありません。飛行機は「時間を買う」「疲れない環境を買う」ための投資であって、そこを削る発想が最初からない、というのが素直なところです。機内でシートを倒せない、軽食すら有料、遅延時の振替もほぼなし…みたいな世界は、お酒を飲んで寝ていきたい身にはちょっと耐えられません。
なので、このニュースを見ての第一印象は「あー、そっち側の航空会社ね(他人事)」だったというのが本音です。
ただし、間接的にハワイ線にも影響はありそう
とはいえ、完全に無関係かというとそうでもなくて。
スピリット航空自体はホノルル線を飛ばしていませんが、米本土内で安いLCC便がどんどん減っていくと、米本土からハワイに来る観光客の構成が徐々に変わってきます。今までスピリットで米本土内を安く移動していた層の一部は、そもそも長距離の旅行頻度を減らすか、移動自体を諦めることになる。
結果として、ハワイを訪れる観光客の総数や属性が変わり、ワイキキの飲食店や小売の需要と価格にも徐々に影響してくる可能性はあると見ています。観光客が減れば、ロングスドラッグスのビールの値段が下がる…なんてことは残念ながら起きないと思いますが(笑)、レストランの混雑度合いやハッピーアワーの内容には地味に影響してくるかもしれません。
あとは、政府がLCCに融資するという前例ができると、今後の航空業界の救済レースが本格化する可能性もあります。「ジェットブルーも助けてくれ」「フロンティアも」となったとき、限られた予算をどこに配分するかで米航空業界全体の地図がジワジワ書き換わっていく。ホノルル線を飛ばしているプレイヤーの勢力図も、数年単位では影響を受けるはずです。
結論:LCCの未来は自分たちの判断には影響しない
スピリット航空救済の行方は、正直なところ見守るしかない話題だと思っています。私たちの次のハワイ行きの航空券選びが変わるわけでも、ホクラニでの過ごし方が変わるわけでもありません。
ただ、ここ数日のニュース(ANA・JAL燃油サーチャージ緊急改定、ユナイテッド運賃20%値上げ、そしてスピリット救済検討)を並べて眺めると、見えてくることが1つあります。
ジェット燃料が2倍になった世界では、「とにかく安く飛ぶ」モデルがまず最初に壊れるということです。
そうなると、残る選択肢は結局、
- ちゃんと運賃を払って、快適さも込みで飛ぶ(大手本体)
- マイル運用で航空券の原価を平準化する(私たち)
この2つに集約されていく気がしています。マイルは裏切らないというか、燃油サーチャージは取られるにしても、「運賃本体が20%上がった」「LCCが減って選択肢が狭まった」という影響からは一歩外れた場所にいられるのが、改めてありがたく感じたニュースでした。
結局今日もロングスドラッグスで買ってきたビッグウェーブ ゴールデンエールを開けながら、「米本土のLCCが何社残るかは他人に任せて、自分たちはホヌのプレエコをコツコツ予約していこう」という、身の丈サイズの結論に落ち着きそうです。