ハワイ農地を企業買い占めから守る法案『Farmland for Farmers Act』提出 ― 滞在中の食卓と遠くで繋がる話


ハワイ選出のJill N. Tokuda下院議員(HI-02)が、上院のCory Booker議員(D-NJ)らと共同で、企業や投資ファンドによる農地買い占めを制限する「Farmland for Farmers Act」を提出したというニュース。法案の細部の評価は専門家の議論に任せるとして、ハワイ滞在中の食卓を支えてくれている野菜や果物の足元が動いているニュースとして、読み入ってしまいました。

ニュースのあらまし

Rep. Tokuda introduces legislation to protect farmland from corporate land grabs | Maui Now

Rep. Tokuda introduces legislation to protect farmland from corporate land grabs | Maui Now

US Rep. Jill N. Tokuda (HI-02) introduced the Farmland for Farmers Act, legislation to curb the rise in corporate ownership of agricultural land and keep farmland in the hands of farmers. US Sen. Cory Booker (D-NJ) has introduced companion legislation.  

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| Rep. Tokuda introduces legislation to protect farmland from corporate land grabs

法案の要点はざっくり以下のとおり:

  • 対象: 企業、多層構造の子会社、年金基金、投資ファンドによる農地新規取得を禁止
  • 既保有農地の継続は認めるが、新規取得は禁止(USDAやFarm Credit Systemのプログラム・給付へのアクセスも遮断)
  • 適用除外: 25名以下の株主で全員が農業従事している企業
  • 共同提出者: 上院Booker議員、下院McGovern議員(D-MA)、Thanedar議員(D-MI)
  • 支持団体: Hawaiʻi Farmers Union、National Family Farm Coalition、National Young Farmers Coalition

背景には「全米で今後20年間に農地のほぼ半分が所有者交代する見込み」というデータがあるそうで、誰がその次の担い手になるか(個人農家か、企業・投資ファンドか)で農村経済の景色が大きく変わる、という危機感が動機のようです。ハワイ州内でも農民への聞き取りで「農地価格の上昇」「企業集約化への懸念」が確認されているとのこと。

ハワイ滞在中の私たちの食卓は、ハワイの農地と遠くで繋がっている

私たちのハワイ滞在中の食生活は、表向きは「茶色いジャンク+ビール」のイメージかもしれませんが、実は健康のために野菜やフルーツもしっかり食べているのが本音。ターゲットで安く買えるセロリワイキキマーケットでブロッコリースプラウト・ブロッコリー・キャベツ・芽キャベツ・ケール、そしてバナナ・パイナップルあたりが定番ローテで、市販のランチドレッシングをかけてバリバリ食べるのが、滞在中の地味な楽しみのひとつです。

これらの野菜や果物が、ハワイ州内のどこの農地で育ったものか、誰が育てているのか、私たちは普段あまり意識していません。スーパーの棚にあるから、当たり前のように買って食べている。ただ、今回のニュースを読んで、その「当たり前のように棚に並ぶ」状態が、農地の所有構造という土台の上に成り立っていることを改めて意識させられました。

農地の所有者が個人農家から企業や投資ファンドに移っていくと、何が変わるのか。短期的なリターン重視の経営になって、品種や栽培方法が変わる可能性もあれば、地元向けの野菜・果物が観光客向けの輸出品種に切り替わる可能性もあるかもしれません。あるいは、農地が農地でなくなり、別用途に転用される動きが加速する可能性もある。専門家でない私たちには細部までは分かりませんが、「滞在中のスーパーの棚」と「ハワイの農地の動き」が想像以上に近いところで繋がっている、という感覚は持っておきたいなぁと感じました。

法案への距離感

私たちはハワイの政治・農業政策に深い知見があるわけではないので、Tokuda議員の法案が農村経済にとって最善かどうかを論評する立場にはありません。「企業の参入は悪」「個人農家を守るべき」と決めつけるのも雑ですし、逆に「市場原理に任せるべき」と切り捨てるのも違うと思っています。法案の良し悪しの判定は、ハワイの農家・経済学者・政治家にお任せしたい話。

私たちが感じたのは、もっとシンプルなレベルの感想です。ハワイの農地の所有者が大きく動こうとしている時代に、自分たちが滞在中に食べているセロリやブロッコリーの背景を、少しだけ想像してみる。普段の旅では「ターゲットで買う」「ワイキキマーケットで買う」までしか視界に入らないものが、その先のハワイ農村まで続いているんだなぁ、という地味な気付きです。

ハワイの食卓は、ローカル農産物だけでなく、本土からの輸送品も含めた複雑なサプライチェーンの上に成り立っているのは承知しています。それでも、ローカルで採れる新鮮な野菜・果物が手に届く範囲にあるのは、ハワイ滞在の地味な魅力のひとつ。今回の法案がどう進むかは未知数ですが、滞在者としてはハワイの農地が健全に回り続けてくれることを願っています。

おわりに

「Farmland for Farmers Act」は、まだ提出されたばかりで、実際に成立するかは今後の議会次第。私たちのような滞在者にとっては直接的なアクションは取りようがありませんが、ハワイ滞在中にスーパーで野菜や果物を選ぶ時、ふと「これはどこの農地から来たのかな」と一瞬考えてみる、くらいの距離感で受け止めようと思います。

普段の旅はターゲットでセロリ、ワイキキマーケットでブロッコリースプラウト、YardHouseのハッピーアワーでビールという地味なローテで完結していますが、その地味さを支えてくれているハワイの農地と農家のみなさんに、滞在者として静かに思いを馳せながら、ニュースを眺めさせてもらいました。

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出不精夫婦

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